先日最後までクリアした『スーパーマリオオデッセイ』。「マリオ史上最高の神ゲー」と評したが、それでも『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は超えられなかった。その理由をまとめてみる。
理由
世界感
自由度
『ゼルダBotW』と『マリオオデッセイ』を比較した時の最大の違いは「世界」に対する認識の差だろう。ゼルダはゲーム内に「ハイラルの大地」が確かに存在したのに対し、マリオの各国は用意された「ステージ」にしか感じられない。
もちろんこれはゲームとして意図した設計ではあるものの、ハイラルを馬に乗って駆け回り、パラセールで滑空し、狩りや採集をしながら生きることが出来たゼルダに対して、マリオはパワームーン集めのタスク処理としての側面があまりに強い。
正直「ゼルダ」はプレイしていてガノンを倒す、ゼルダ姫を助けるという目的を忘れるほどに夢中になれた。しかし、「マリオ」の目的はピーチ姫を助けることであり、進むためにはパワームーン集めが必須となる。各国でムーンをどれだけ集めるかはプレイヤーに委ねられているものの、基本となるゲームの進め方は「パワームーンを集める」以外に存在しない。ここがゲームの楽しみ方の自由度という点で大きな違いとなっている。
広さ
遊びの幅広さも大きく異なるが、舞台となる世界の広さも余りに違う。今回のマリオは箱庭型と呼ばれるように用意されているのは各国の「箱」である。京都市をモデルにした異次元の広さが用意されていたゼルダとは広さの観点でも比較にならない。
世界の広さはそのまま遊び場の広さの差となっており、どこまでも探索し続けられる楽しみがあったゼルダに対してマリオはプレイヤーが把握可能な、見渡せる範囲内での遊びに留まっている。
空気感
世界に対する空気感の感じ方も大きく異る。タイトルに『ブレス オブ ザ ワイルド』と入れていたゼルダは確かにプレイしていて世界に「野生の息吹」を感じる事ができた。風が吹けば草木が揺れ、日差しの強さ、寒さと暑さまでも画面から感じられた。
マリオはスイッチ専用タイトルとして開発されたため単純な画質比較ではゼルダを上回っている。しかし、画面から感じられる空気感はゼルダの圧勝である。
マリオオデッセイは「フォトモード」が搭載されているが、この「フォトモード」がより輝くのも現状はゼルダだろう。アップデートで実装が期待される。
ゲーム性
中毒性
ゼルダBOTWみたいな異常な中毒性と衝撃はないけど64のマリオ初めてやったときのワクワク感がある!
— ₦₦₦₦₦₦₦₦₦₦ (@nonokuso) October 28, 2017
無限に月集めさせられるゲーム、ゼルダみたいな中毒性ない
— IS (@pyaaaaaaaaaa999) October 28, 2017
ゲーム性という観点ではゼルダがゲームとしてかつて無いほどの中毒性を持っていたのに対して、マリオは尾を引くほどのゲーム的魅力を持っていない。これはプレイするほどに「やること」が見つかり、「知的好奇心」を刺激されたゼルダに対してマリオは用意された遊びに留まっていることが大きな理由だろう。
このゲームとして計算され尽くした設計はCEDEC講演でも明らかになった部分。CEDEC講演記事を未読の方は是非一読して欲しい。
遊びの可能性
ゼルダの物理演算による自由度がエグすぎて鳥肌立った。こんなん、ゲーム進めなくてもずっと遊んでられるやん笑 https://t.co/rOhSiVvceM
— たろさ aka ぼんダディー (@tarosanikki) March 1, 2017
ゼルダが遊びの基本として「物理」と「化学」を用意していたのに対して、マリオは純粋に「アクションゲーム」としての魅力を突き詰めている。当然、それもゲームの方向性としてアリなのだが、プレイしていて感じるのは「マリオは飽くまでマリオ」という事である。
だからこそ初心者でも楽しめる入門用ゲームとしての魅力も存在するのだが、マリオシリーズとしての枠を超えた挑戦は感じられなかった。
用意された遊び
とはいえ本作ではマリオらしいアクション以外のミニゲームも多数用意されている。過去に記事にまとめた通り「福笑い」をモチーフとしたミニゲームがあったり、そもそも「キャプチャー」機能自体がマリオの遊びの枠を広げる画期的な機能ではある。
しかし、これらのミニゲーム、キャプチャーも開発者によって用意された要素にしか感じられない。「キャプチャー」が全てのモノに対して行える自由度の高さがあれば違っていたと思うが、決まったキャラ、モノしか「キャプチャー」することが出来ない。この点は非常に残念。
単純にゲームとしての可能性を考えると『スーパーマリオメーカー』の方が「ワクワク感」があったように感じる。『スーパーマリオ オデッセイ』ではインターネット機能はランキング機能にしか用いられていない。もっと遊びの幅を広げるために使って欲しかった。
物語
物語という点でも魅力的な英雄たち、種族・キャラクター、過去の記憶、ガノンとの戦いなどドラマチックだったゼルダに対して、マリオは飽くまで「クッパ」から「ピーチ姫」を救うお話に留まっている。
もちろんクリアした方は分かると思うが、本作にはマリオシリーズとしては非常に素晴らしい、涙腺に来る演出が用意されている。しかし、子供向けゲームである「マリオ」の域を超えることはできなかった。ゼルダとは用意された物語背景が余りに違いすぎる。クリア後にゼルダの3rdトレーラーを観ると涙腺を刺激されるが、マリオは振り返っても「良いゲーム」「良い演出」だったという部分が大きく、「物語」に対する感動は小さい。
感想
「マリオ」としては100点満点だった『スーパーマリオオデッセイ』。しかしGOTYはどちらかを考えた時に、「マリオ」という枠を超えられなかった同作と「ゼルダ」の枠を遥かに飛び越えてきた「ブレス オブ ザ ワイルド」では格が違う。
とはいえ単体のゲームとしては本当に素晴らしい作品だった。今後のマリオシリーズは是非「ゼルダ」に倣ってオープンワールド化してみて欲しい。ゼルダで出来たのだからマリオもきっと面白いオープンワールドゲームになると思う。任天堂の今後のマリオシリーズの展開に期待したい。
コメント
マリオシリーズもオープンワールド化して、主人公をリンクにすればいいと思う。
コメントありがとうございます。
オープンワールド化を切に願いますね。
つまりBotWのマリオ版が出れば全て解決ですね。
想定された面白いクリア方法へユーザーを楽しく誘うっていう旧来のゲームで一番楽しいのがマリオなんですね
コメントありがとうございます。
マリオの場合は完全にコントロールされたゲームデザインとなっていますね。
それはそれで魅力的で任天堂の「ゲームデザイン」の緻密さを感じられますし、ゲームとして楽しいです。
ゼルダは「クリア方法」を含めて全てをユーザーに委ねていた点が魅力的だったと思います。
より現代的で挑戦を感じられるのが「ゼルダ」だと思うのはこの辺が理由かもしれませんね。
ありがとうございました。
いや結局あなたオープンワールドが好きなだけじゃん、って感じもしますけどね
マリオはこっちの方向での進化であっていると思います
もっとインターネットを使った面白い遊びをという点は同意です
コメントありがとうございます。
ゲームをやる人ほど自由に遊べるオープンワールド型を好む傾向はあるかもしれませんね。
個人的に今作では箱庭型の限界を感じてしまいました。
ゼルダもBotWが突然オープンワールドとして成功したため、非常に好評を得ていますがありがちな「無駄に広い」だけのオープンワールドだったらシリーズファンは落胆していたと思います。
恐らく「マリオ」も新しい進化の形があると考えています。それが「オープンワールド化」なのかは不明ですが。
インターネットはもっと活用して欲しいですよね。ネット活用という点では旧時代的過ぎる使い方だったので、「3Dワールド」の方式でネットプレイできるようにするだけで素晴らしいゲームになり得るのでそこにも期待したいです。
コメントありがとうございました。
マリオでネット活用して失敗した例が多すぎるのでこのぐらいがちょうどいいのかな、と思います
それこそ一部の人の主観にならないためにも
コメントありがとうございます。
マリオのネット活用の失敗例はどんなものでしょうか?勉強不足ですいません。
マリオメーカーはネットがあったからこその作品であり、マリオシリーズのゲームにはパーティゲームも多いと思います。
必須ではなくオンラインだからこそ盛り上がれる要素を搭載した挑戦作もありかなという印象です。
ただ基本は『マリオメーカー』『どうぶつの森』シリーズのようなクリエイト要素があってこそ、オンラインが活きると思うので純粋なアクションを突き詰める場合は今回くらいのバランス感がベストでしょうね。
コメントありがとうございました。
タイトルの「超えられなかった」というのは売上の話じゃないんですよね?
マリオとゼルダは違うゲームですし、同等の面白さだと思ってます。
自由度の高いゲームも好きですけど、従来のゼルダのように用意された回答を見つけるのも楽しいと思います(パズルゲームに近い感覚)。
HaRu様コメントありがとうございます。
はい、売上の話ではありません。
ゲームとしての「面白さ」を比べた場合は「ゼルダ」の方が面白いというのが本記事の趣旨となります。
ご指摘の通り、そもそも違うゲームという意見も理解できます。
しかし、遊んだ時の「中毒性」や得られる「感動」という観点、ゲームとしての文化的価値を考慮すると『スーパーマリオ オデッセイ』は『ゼルダの伝説BotW』に遠く及びません。
事実として去年のゲーム賞を総舐めしたのは『ゼルダの伝説BotW』であり、未だに多くのプレイヤーが遊び続けているゲームもまた『ゼルダ』です。
『ゼルダの伝説BotW』が従来のゼルダを大幅に飛び超えて進化した事実に対して『スーパーマリオ オデッセイ』の進化はグラフィック、ボリューム、キャプチャー機能に留まっています。
マリオシリーズの概念を変えるような進化を今後期待したい想いもあり、本記事にまとめています。
ありがとうございました。
前にマリオオデッセイを褒め通してちょっと悪くなったら愚痴ですか?
ゼルダがしたから〜という事を言ってしまうとマリオとぜルダが全く同じゲームになり
マリオとゼルダを分ける意味がなくなってしまいます
それとここに載せている比較対象はどれもおかしすぎです
別にこの記事だけだったらゼルダそんなに楽しかったんだな
と解釈出来るのですが前回褒め通した記事があるので理解ができません
ただの気分で記事を書かないでいただきたい
シドラゴン様コメントありがとうございます。
愚痴ではありません。本記事は両者を比較した場合ーという趣旨で書いています。
ゲーム毎の特性の話もよくわかります。
しかし、その例で言うならば『ゼルダの伝説』シリーズもまた、海外AAAゲームに倣ってオープンワールド化する意味は無かったはずです。
自社内タイトル毎の差別化という意味での主張でマリオは「ゲーム初心者」向けの入門用、オープンワールドにして複雑化する意味がないという主張は理解できます。
正直ゲーマーとして「オープンワールド化」したマリオを遊んでみたいという部分が強いです。
過去記事にも目を通していただいて嬉しいです。ありがとうございます。
前回褒め通したのも事実です。そのため本記事でも「マリオとしては100点満点」と書いています。
プレイ後間もないタイミングでレビュー記事を書いているため、直後の感想と落ち着いたタイミングでの感想に差がある点は否めません。申し訳ございません。
詳細なご指摘ありがとうございました。
ゼルダBOWは確かに良かったけどあの世界を飛行して飛び回れないというのが最大の残念ポイントだった。クリア後要素か何かで入れるべき。
あと広いのは嫌で箱庭型の方が良いって人はマリオ選ぶんじゃないですか?
コメントありがとうございます。
確かに空のスペースを活用したフィールドや乗り物も欲しかったですね。
ただ、ゲーム的に「パラセール」活用の観点ではゲーム性崩壊に繋がるので不採用になった感じですかね。
マリオは良くも悪くも「ゲーム初心者向け」という点が強い気がします。
ゼルダは次どこに行けば分からない放任主義ですし。
今後もゼルダ→オープンワールド、マリオ→箱庭の流れなんですかね。
マリオもいずれは現代機向きのAAA作品が出てほしいです。
ありがとうございました。
結果:両方神ゲー
本当にその通り。
ゲーマーとしては比較できるレベルの作品が連続で出てくれ嬉しい限り。
この流れで和ゲー復権して欲しい。
ありがとうございました。
マリオとゼルダでは求められている面白さが違うと思うのですが。マリオはどちらかといえばアクションの軽快さや爽快感を求められていて、その中でもとりわけジャンプというのが大切でステージが広すぎてはそのジャンプアクションを生かせないのではと思います。ですからオープンワールドにするとしてもゼルダとは異なる形となるでしょう。それにマリオはどちらかといえば万人向けですから「初心者向け」が正しいのだと思います。キャプチャーの自由度を向上させすぎてはマリオのジャンプアクションの良さが損なわれるかもしれません。ストーリーに関してはマリオとゼルダで比べる必要はないと思います理由としては全く方向性が違うと思いますから。今回のマリオはまさに今までのマリオの集大成という形ですから新しいことへの挑戦の余地がまだまだありますし、個人的な箱庭とオープンワールドを比べるのはいささか疑問です。マリオのオープンワールド式ゲームが出たときこそ比べられるのではないかと思います。
長々とすみません。私としてはコースクリア式(マリオギャラクシー、3Dランド等)、箱庭式(マリオオデッセイ)、そしてオープンワールド式の3つの異なるタイプの3DマリオがSwitchに出ればいいなと思っております。
コメントありがとうございます。
オープンワールドでありつつステージ密度を高めることも、任天堂なら実現できるのではと希望を抱いています。
マリオらしい立体的な展開をしたオープンワールドとか夢みたいですね。
「万人向け」のマリオと別方向の作品も遊んでみたいんですよね。それを実現するのが「マリオ」である必要がないという主張も最もですが。
同じくマリオのオープンワールドも期待してる感じですね。やってみたいですよね。
異なるタイプという考えは同意です。
既にコアゲーマーとライトゲーマーの境は大きくなっていますし、入り口を広くしたところで奥行きがあり過ぎると「マリオ」としての魅力は失われてしまう気がします。
今後のシリーズ展開に期待ですね。ありがとうございました。
マリオはOW化させちゃダメ
ダラダラゲーになる
コメントありがとうございます。
前述のコメントと被りますが「だだっ広いスカスカなオープンワールド」であれば同意見です。
ダラダラゲーにならないアクションメインのオープンワールドを任天堂なら作れるのでは?という主旨ですね。
ありがとうございました。
マリオはたしかにアクションゲームですけど、RPG的な形式を採用すればもっと面白かったかもしれませんね。
各ワールドの困っている人を助けたり、その国特有のボスを倒すクエストがあって、その報酬としてスターやファイヤーフラワー、ポンプなど新しいアクションを行えるアイテムが貰えるとか…
ムーンを集めて次のワールドに行く、の繰り返しだと流石に単調かなと思うんですけど、どの層にも簡単に楽しんでもらうっていう意味では今作の仕様が1番なんでしょうね。
ゲーム好きを満足させるコアなゲームと、大人も子供も簡単に楽しめるゲームって両立させることは出来ないんですかね〜。
コメントありがとうございます。
マリオの基本は小さい子供が「初めて遊ぶゲーム」として成立することです。
敵との距離感、3D空間における移動、カメラ操作、ジャンプ等を覚えつつステージを進むと難易度が上がるレベルデザインがマリオの肝だと考えています。
その点でRPG的な方向で新しいアクションを追加するとレベルデザイン的に「マリオ」として破綻するリスクは高いですね。なので仕様的にオデッセイは大正解だと思います。
ゲーム内容の深度化に関しては「スーパーマリオメーカー」が一つの解なのでは。コアゲーマーは同じくコアゲーマーが作った高難易度ステージを遊べますし逆もまた然り。
BotWに倣うならオープンワールド化しつつ各ユーザーが楽しめる形も出来そうですけどね。
今後のマリオシリーズの進化に期待です。
ありがとうございました。
オデッセイはプレイしてないけど、マリオの方は今までの進化の延長線上であり
ゼルダはある種新しいものを提供したという点が違うんじゃなかろうか?
コメントありがとうございます。
上記コメントでも書いてますが、ゼルダは「当たり前の見直し」を行い寧ろ原点であるオープンワールドに立ち返った形ですね。
マリオシリーズもサンシャインぶりに箱庭型に立ち返った形で共通しています。
ではオープンワールドの「マリオ」は?が本記事の主題ですね。
ありがとうございました。
主の意見分からんでもないが、それゼルダでよくね?
ゲームやったこと無いんですかね。
テトリス99に対してそれフォートナイトでよくね?レベルの無意味な意見。
3Dマリオは2Dマリオに毎回売り上げで負けているので2Dに戻したほうがいいですね。
コメントありがとうございます。
売上の問題よりもノウハウ含めた社員教育と文化的なシリーズ存続の意味合いもあるので2D特化は先細りだと思いますよ。
対象としているターゲット層も異なりますし売れるからーならソシャゲと変わらない。
2D,3D問わずゲーム制作→振り返り→改善したシリーズ次作の流れは今後も続けて欲しいですね。
ありがとうございました。