ジャンプ読切『MISTERIA -怪奇コレクション-』感想

少年ジャンプ30号に掲載された読み切り『MISTERIA -怪奇コレクション-』の感想。

どんな漫画?

本作のジャンルは怪奇アクション漫画。未確認生物、オカルト、オーパーツなどを題材に主人公が謎を解き、「怪奇」をコレクションする内容となっている。

作者について

『ヤマトと右腕 -H&W財団事件実録-』少年ジャンプ公式サイトより

作者は『TRIGGER』でトレジャー新人漫画賞の佳作を受賞した修行コウタ

その後ジャンプNextで『DEMI DRAGON -異聞西遊記-』『ヤマトと右腕 -H&W財団事件実録-』を読切で掲載。連載を持ったことはない新人である。

新人賞の『TRIGGER』はこちらで読むことが出来る。受賞したのは2012年、この頃から画力が高かったことが分かる。

感想

非常に読みやすいのだが中身が無い

主人公は劣化版ネウロ

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主人公の市村心は好奇心を理由に怪奇を追い求める狼人間。見た目や行動に感情が伴なわず「好奇心」が動機な辺り『魔人探偵脳噛ネウロ』のネウロに似ている。しかし完全劣化版

匂い」を頼りに怪奇を探すのは狼男設定を使っているのだろうが弱い。変身前の見た目はそこらの金髪モブだし、行動も人間味が無いだけで狼男設定が活かされていない。

以前述べたが、現在の面白い漫画のスタンダードは「群像劇」である。本作は怪奇のお話ベースなため、主人公も展開役にしかなり得ていない。

そもそも今どき狼男という設定がありきたり過ぎる。ネウロは見た目が特徴的な魔人だったし、ぬーべーは鬼の手、犬夜叉なら鉄砕牙等のアイテムと群像劇要素があった。狼男という設定一つだけなのは圧倒的に弱い

その他の登場人物はバイク屋の息子やその幼馴染、同級生が出るが要するに読者目線のモブ。今回のテーマが首なしライダーだったから登場させただけで、1話ごとに入れ替わるコマだと思われる。今後連載するならネウロのヤコ、左門とてっしーの様なパートナーは必須。

ゾクゾクが無い怪奇内容

肝心の「怪奇」にまつわるお話が面白いのかというと普通。「首なしライダー」をテーマにしてるのだが新たな解釈があるわけでもなく単なる都市伝説紹介。連載時は都市伝説ネタ、ファンタジー、UMA辞典を色々調べて順に紹介する姿が目に浮かぶ。

内容もせっかく「怪奇」なのに読んでいて全くゾクゾクしない。肝心の首なしライダー登場シーンはパニック映画展開で、都市伝説の持ち味である「日常生活にある恐怖」が失われている。

首なしライダーになった経緯も存在せず、軽く登場させてるツチノコもただの蛇、コレクションに一部映るのもハーピィ、人魚、巨人等ありがちな類。独自の世界観、お話が全く無い。

「怪奇」なんだからお話にはを盛り込むべきだと思う。ネウロのように社会風刺混ぜたり、人の醜さを反映するのも良い。本作は毒が無い分読みやすいが魅力もまた無いのである。

絵は読みやすい

キャラとお話は問題があるが、絵は非常に読みやすい。いわゆるクセが無く、コマ割りも自然で画作りによる展開も分かりやすいのでスラスラ読める。新人賞の「TRIGGER」も内容はともかく非常に読みやすかった。

原作を付けるべき

現状の作品を小手先で直しても魅力的にはならないと思う。作者は非常に画力があるので原作付きで別の作品作ったら良いのではないか。とりあえず2012年の佳作受賞からようやく本誌読切掲載まで来れたと思うので今後も頑張って欲しい。

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