2024年9月、PlayStation5の純正コントローラー「DualSense」の値上げが行われた。希望価格は9,480円から11,480円へと改定され、店頭での実売価格も1万円超えと気軽に購入できない価格帯になっている。
ハイエンドな価格帯のコントローラーとなったDualSenseだが耐久性は他のコントローラーと大きく変わらない。筆者も1年前に購入したDualSenseが右スティックが勝手に動いてしまう「ドリフト現象」が発生してしまい何とか修理できないかを調べていたところ、わずか600円での修理に成功したので修理方法をまとめておく。
目次
用意するもの
DualSenseの自己修理を進めるにあたり下記の道具が必要となる。
- 精密プラスドライバー
- スパッジャー
- ピンセット
- コンタクトスプレー
- (新品バッテリー)
- (エアダスター)
プラスドライバーは小さめの精密ドライバーを用意する。
スパッジャーは下記のような隙間に差し込む「ヘラ」として使えるもの。マイナスドライバー等でも代用は可能と思われるが、本体を傷付ける可能性が高いので用意することをオススメする。
ピンセットはフレキシブル基板の抜き差し時にあると便利。
今回のドリフト修理には接点復活剤(コンタクトスプレー)が必要となる。接点不良を起こしているスティックモジュールに直接これを吹きかけることでドリフト問題を解決する。
新品バッテリーはスティック修理時に同時に交換が可能なのでコントローラーの充電が持たなくなってきた、あるいは充電容量を増やしたい場合に用意する。筆者はこちらのバッテリーにしてみたが飽くまで非純正品なので発熱・膨張などには注意して使用すること。
ホコリを吹き飛ばすためのエアダスターもあれば便利だが、使用状況次第で無くても問題ない。ペットを飼っていて内部に毛が入っている、あるいは保管場所や使用期間によってホコリが内部に溜まっていそうな場合は用意すると良いかも。
修理手順
修理方法は上記YouTube動画を参考にさせていただいた。修理難易度としてはパネルの溝をこじ開ける際の力加減やフレキシブル基板の扱いなどに注意すれば難しくはない。
L1R1ボタン
まずはL1ボタンとR1ボタンを取り外す。L2・R2との間にスパッジャーやマイナスドライバーを差し込みテコの原理を用いてポコっと外す。この際、差し込む位置が真ん中でないと上手く外せないので注意。
初めてだと怖いが押し込むだけで元に戻せるので思い切って行うこと。
下部パネル
続いてコントローラー下部のパネルを外す。コントローラーとの隙間にスパッジャーを挟み込み同様にテコの原理で外していく。
左右を外したあとは中心に向かってスパッジャーを動かしていき、ある程度外れてきたらパネル自体を掴んでもぎ取る。
スティックの干渉に注意しつつ下方向に引っ張れば外れる。
ネジ4箇所
続いてコントローラー背面のネジを4箇所外す。
L1・R1ボタンの後ろの2箇所。
グリップの下にある2箇所。
下部のツメ
コントローラー下部のツメを左右とも外す。
背面カバー
左右の隙間にスパッジャーを入れていき背面カバーを外す。この際、新型のDualSense「CFI-ZCT1W A」ではL1,R1横に突起が追加されており前面側のL1,R1横?を親指で抑えつつ両側を同時に外すと上手くいくらしいが、筆者は諦めて無理やりこじ開けて突起を破壊しておいた。
バッテリー
続いてバッテリーを取り外す。バッテリーのみ交換したい場合はここまででほぼ完了となる。
バッテリーとつながっているコネクタを外す。ピンセットを使うと外しやすいが手でも外せると思う。断線するのでケーブルごと引っ張らないこと。
ネジ3箇所
背面のネジ(左、真ん中、右)を外す。
フレキシブル基板4箇所
バッテリーカバーを外し、上下左右のフレキシブル基板を外していく。なお下部の左側(マイクボタン用?)の基板は外さずに作業が可能だった(モデルによってはこちらも外す必要があるかも)。
フィルム部分を手で掴んで抜いても良いが左右の出っ張りをピンセットでつまみつつ左右に小刻みに動かして抜くと上手くできた。
基板
左右のスティックを同時に押し込みながら基板を浮かせて手前側にひっくり返す。この際、左右のモーターとの配線が切れないように注意。
スティックモジュール
エアダスターがある場合は使用して掃除しておく。
スティックを倒し込みコンタクトスプレーを緑色の部分2箇所×左右のスティックで合計4箇所に吹きかける。吹きかける量は少なくて良くて「シュッ、シュッ」というレベルで十分効果がある。逆に量が多すぎると基板側に垂れてしまうのも気になるので適度に。
再組み立て
逆の順番で組み立てるだけで良いので上方向にスクロールしつつ作業を行えば良い。コントローラー下部のツメを引っ掛けるのを忘れがちなので注意。
感想
動作確認すると無事にドリフトが解消され、別途バッテリー交換したコントローラーの充電も解決していた。値上がりしてしまった現在コンタクトスプレーを吹きかけるだけで修理可能なのは非常に助かる。
正直ドリフトに関してはJoy-Conやその他の非純正コントローラーでも多発する現象なのでスティック型コントローラーの寿命として諦めざるを得ない部分はあると思う。今回の修理も飽くまで接点不良を解消するという一時的な解決手法であり、持続性があるのかは疑問。根本的に解決するにはスティックモジュール自体を交換するしか無いのだがDualSenseはハンダで基板と接着されているため、はんだごてや吸い取り綿、モジュールの傾き調整など交換難易度は格段に上がってしまう。頻発する場合スティックモジュールの交換が容易な「DualSense EDGE」を思い切って買ってしまうのも一つの手だと思う。
同様のドリフト現象が発生し、ダメ元で修理をしてみようと思った方は本記事を参考に修理を試してみて欲しい。