【ナーフ】ハースストーン歴3年半のゲーマーが引退した3つの理由

日本版サービス開始当初からプレイし続けてきた『ハースストーン』を遂に引退したので振り返りと引退理由の解説。

どんなゲーム?

「Hearthstone: ハースストーン」トレーラー

『Hearthstone(ハースストーン)』はブリザード・エンターテイメントがサービス運営するデジタルカードゲーム。総プレイヤー数は1億人を超えるDCGの先駆けであり、人気MMO『ウォークラフト』シリーズの世界観を舞台にMTGライクなゲームプレイを楽しめる。日本語版は2015年の10月に実施され、新カード追加、バランス調整が繰り返されながら海外を中心に根強い人気を誇っている。

筆者のHS歴

黎明期

筆者がHSをプレイし始めたのは日本語版のサービス開始間もない2015年11月から。「ドクター・ブーム」が最強だった時代から遊び始め、ナクスラーマスの強力なカードを集めるために課金。「手動操縦のシュレッダー」から「終末予言者」が召喚されるランダム性の高い試合展開に歓喜し、残り1点が足りず悔し涙を流した。

当時最強だったのはシクレパラ。マナコスト順にカードを出していくだけで強く七並べの様相を呈していたのも今では懐かしい。その他にフリメ、レノロック、パトロン等で環境は荒れていたが、プレイ開始間もないお祭り感も相まって非常に楽しかったことを覚えている。初めてミルローグと戦った時には「こんな勝ち方があるのか…」と感動し、あと少しで削りきれる場面で「レノ」を出された絶望感も思い出深い。

ヨグ信仰

環境が大きく変化したのは2016年4月の「旧神のささやき」リリースタイミング。スタンダード導入と同時に多数のカードがナーフ、環境調整が行われた。また、新弾追加された「希望の終焉ヨグ=サロン」はバランスの是非はともかく、HSのランダム性を象徴したカードで試合展開を決定づけるDCG特有のワクワク感に溢れており、多数のヨグ信者を生み出した。8月には「ワン・ナイト・イン・カラザン」が発売、「バーンズ」を用いたオリジナルのビッグドルイドデッキを作って遊ぶ。当時はTier・ランクは意識せず強いデッキを模索すること自体を楽しんでいたように思う。

ウンゴロ

その後は海賊、翡翠デッキが目立ったが2017年4月「大魔境ウンゴロ」が実装。各ヒーローの特徴的なクエストと共に様々なデッキが見られ史上初めて環境トップに9ヒーローが勢揃い。メタデッキも多く翌週には環境が様変わりしている変化の多い時期で日々変化する環境にプレイヤー自身が「適応」する必要があった。VSレポでもティア1が存在しない最もバランスが取れた環境と絶賛されている。

ドルイド環境

バランスが壊れ始めたのはこの辺りから。「究極の侵蝕」「拡がりゆく虫害」といったパワーカードの登場によって完全にドルイドストーン化。筆者は昔からドルイドしか使用していなかったため被害は受けなかったものの多様性を感じられない残念環境で愛想を尽かしたプレイヤーも多く居たように思う。

ダンジョン攻略

先週12月8日から配信が開始されたハースストーンの新拡張『コボルトと秘宝の迷宮』のアドベンチャーモードがむちゃくちゃ面白いのでレビュー。 ...

その後「練気」を始めとした基本カードのナーフを経て12月には新拡張「コボルトと秘宝の迷宮」が実装。ローグライク風に楽しめるゲーム性に感動してブログでも上記記事を投稿。アドベンチャーモードにドハマリする。環境はキューブロックなどのマナコスト踏み倒しが多く見られインフレとゲームのじゃんけん化が進んでゆく。

ゲンバクの悪夢

個人的にHS史上最大の失敗だと信じて疑わない「月を食らうものバク」「ゲン・グレイメン」の実装。デッキの極端な相性差がゲームにもたらした影響は過去のVSレポートの通り。奇数・偶数制限によって不可解なナーフ調整にも繋がり、奇数・偶数前提で作られた数多くのカードプールが影響を受けた。ユーザーからの声を聞き入れ早期に過ちを認めていれば現在の状況には至っていなかったように思う。

基本カードナーフ

昨今のハースストーン環境が酷すぎるので考察記事。 現在の環境 2019年1月時点で目立っているデッキ構成は大まかには下記の通り。...

環境は1月時点で修正が効かないほど壊れてしまい上記記事を執筆。バランス云々以前にプレイして全く楽しくない状況が継続している。以降は2018年12月に「野生の繁茂」「滋養」を始めとした調整が発表、2019年2月には更に「冷血」「平等」など5枚。2月末にはゲン、バク「自然への回帰」「ドゥームガード」「神聖なる恩寵」の殿堂入りが発表された。昔からドルイドのみを使用していた筆者としては完全に角を折られ心も折れてしまった。

引退の理由

今後は奇数・偶数デッキも無くなり殿堂入りによって環境も多少は良くなる可能性はある。しかし、ハースストーンのカードゲームとしての根本的問題点は解決するとは思えない。理由を解説してみよう。

ユーザー軽視

奇数・偶数によるデッキ相性、ヒーローパワー優劣、ゲームデザインへの影響は前々からユーザーに指摘されており、運営自身も問題点を把握していたはず。にも関わらず1年近く問題を先延ばしにしてきたのはユーザー軽視に他ならない。背景事情としてレジェンドカードのナーフは魔素補填に繋がりユーザーの課金額にもダイレクトに響く上、奇数・偶数を前提にデザインした新拡張の大幅な見直し作業も伴ってしまう。運営的には「後戻りできない」事情があったことは疑いようが無い。

しかし、ソーシャルゲーム・ネットゲームにおけるユーザー軽視は運営に対する不満・不信に繋がりユーザー数の減少をもたらす。そして一度離れたユーザーはまず戻らない。ゲーム性質上プレイ人口が重要となる『ハースストーン』におけるユーザー離れはゲームとして致命的であり、ゲームデザイナー自身がやめた理由を聞いている辺り迷走している感が半端ない。

そもそも提供された意見に寄り添ったところで未だにプレイし続けているプレイヤーと新規層、カムバック層が求める『ハースストーン』の姿は全く別物である。貰える意見はせいぜい「○○のデッキが強すぎる!」程度のものでゲームとしての根本的問題を指摘するユーザーはごく僅かだろう。ゲームバランスが多少マシになる程度の変化しか期待できない。

面白くない

では現在の『ハースストーン』における根本的問題とは何だろうか。それは1試合がストレスフルで単純に「面白くない」こと。私はハースストーンのゲームとしての魅力は「運と実力」にあると考えている。制限時間内に盤面の点数を計算しランダム効果が少しでも高い確率で有利に働く最適解を見つける。毎ターン自分が想像しうる「最善の一手」を積み重ねることで勝利に近づくことが最大の魅力だった様に思う。

しかし、現環境は「最善の一手」や「点数計算」など微塵も必要としないOTKデッキに溢れている。相手の何倍も思考を巡らせ、時間を掛けた一手を積み重ねても一枚のキーカードで勝敗が決する。極端な話をすればマッチング時点でのデッキ相性差次第ではいくら努力しても勝てない。そんなゲームを人間が遊ぶ意味はあるのだろうか。

基本カードとは?

個人的にモチベーションを最も削がれたのは基本・クラシックカードの連続ナーフ。特にドルイドについては「練気」「野生の繁茂」「滋養」「自然への回帰」と完全なオーバーキル状態。本来ドルイドの特徴だったはずの「マナ加速」は最早見る影もない。

そもそも「基本」「クラシック」のカードはゲーム全体のデザインをする上で指標となるカード類のはず。それを新拡張の強力なカード追加を理由に調整を加える意味が分からない。やってることはDLCの新ボスが弱すぎたんでプレイヤーの移動遅くしましたーみたいな話で普通のゲームではあり得ない愚行である。現環境は前述の通り奇数・偶数によって大きく歪められてしまった状態なので本来的には一度ロールバックするしかないはずだ。「ゲン」「バク」の過ちは認めるけど「平等」を始めとしたマナ調整の過ちは認めないのでは根本的解決に繋がらない。

感想

約3年半の長きに渡りカードゲームの楽しさを教えてくれた『ハースストーン』には感謝しかない。間違いなく人生に刻まれたゲームであり、末永く楽しむつもりだっただけに昨今の迷走は残念。ドルイドの存在を消された時点で愛想が尽きてしまった。新拡張もよほどクレイジーなカードが出た上で原点回帰のバランス調整が行われない限りはユーザー離れは止まらないだろう。

現在ではトルネコライバルズの方が面白く感じるし日本語化されたMTGAも勢いは留まることを知らない。ユーザー離れを防ぐことが出来るかは4月の新拡張に掛かっていると思う。まず触る予定は無いが今後も一ファンとして応援は続けたい。今までありがとうございました。

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