ソニーは本日、犬の日(11月1日)に合わせて新型の犬型ロボット「aibo(アイボ)」を発表した。現在判明している情報をまとめてみる。
aiboについて
「AIBO(アイボ)」はソニーが1999年から販売しているペットロボット。各種センサーを搭載し4足歩行可能、ボールを見分けて蹴る等本格的なペットロボットとして注目を集め大ヒットした。
その後も機能改良やデザインの変更を繰り返して販売され続け、2006年3月末にAIBO本体の生産・販売が終了。ソニーによる修理対応も2014年3月末に打ち切られた。
今回、新たに誕生した「aibo」は実に12年ぶりに復活する新モデルとなる。
概要
価格
気になる新型aiboの価格は税抜き198,000円。そしてaiboを使用するには「aiboベーシックプラン」の加入が必須となる。このaiboベーシックプランが月額2,980円。3年分の一括払いだと9,0000円(月あたり2,500円)となる。
また、aibo故障時に修理が割引となる「aiboケアサポート」も用意されており、こちらは任意加入で年額20,000円。3年分だと54,000円となる。
ケアサポート込みでの3年分の合計価格は342,000円。ケアサポート無しの場合、288,000円となる。その他にも専用の骨型アクセサリー「アイボーン」も2,980円で発売される。
発売日
発売日は2018年1月11日。こちらもワンの語呂合わせとなっている。予約は本日(11月1日)の午後11時1分より受付が開始される。
販売方法はソニーのインターネット直販サイト「ソニーストア」のみの限定販売。
動画
本日の発表に合わせて公開された公式イメージ動画と発表会会場での動画は下記の通り。
特徴
デザイン・表現力
新型aiboの最大の特徴は大きく変わったデザインだろう。以前の未来感溢れるロボット・メカの見た目から動物らしい見た目にシフトしている。これにはTwitterで「前のデザインが好きだった」という声も多数見られる。
かっこよさを求めた路線は、マニアには受けるが広く一般に受け入れられることはないという判断なのだろう。愛嬌のあるデザインは家族の仲間というポジションに慣れるが無機質なデザインはガジェットの域を出られない / “Sony Japan…” https://t.co/q0CpZLX43M
— ししゃ@はてブ垢(準備中) (@sisya_hatebu) November 1, 2017
この大幅な変更はマニア向けの「ガジェット」としての「AIBO」から愛される「家族」としての「aibo」への方向性の変更が大きな理由だと思われる。より温かみと生命感を感じられる丸みを帯びたデザインとなり、有機ELの瞳は生物としての表現力を大幅に向上させている。挙動も動画を見て分かる通り、滑らかで柔らかな動きに進化している。
家庭向けロボットとして実験的試みだった「AIBO」から生き物・家族としてのポジションを狙う「aibo」への挑戦にソニーの本気度が窺える。
センサー
新型AIBOの一番のポイントは、センサーだという事だと思う。家庭に、違和感なく表情をはじめとした画像解析やバイタル系のセンサーを持ち込めるというのは、とても凄い。普及したら、他には無い環境でのデータを大量に蓄積できるし、とても面白いと思う。
— Ume YOSHIOKA (@ume_y) November 1, 2017
旧型「AIBO」も視覚・聴覚・触覚など各種センサーの搭載が特徴的だったが新型「aibo」はさらなる進化を遂げている。
位置情報把握用の「TOFセンサー」「PSDセンサー」に接触判定のタッチセンサー(背中、頭、あご)、ジャイロセンサー、人感センサー、照度センサーなど多彩なセンサーを搭載している。
また、魚眼カメラを用いて地図情報を作成、周囲の環境を把握する等より生物に近い状況把握と行動が可能となっている。
学習・育成
aibo 1匹が、2つのカメラ、4つのマイク、10以上のセンサーからの入力を、64bit Quad-core の CPU で処理してデータ化し、世界中の aibo たちがクラウドに送信したデータが種族としての知識になるのか。凄い。https://t.co/QFYAXUhS7e
— hawk (@hawk_v) November 1, 2017
各種センサーを用いて収集した情報はクラウド連携によって解析が行われ、ディープラーニングで学習・育成が行われる。全ての思考処理はクラウド上で行われるため、各aiboとオーナーのやり取りは集合知として蓄積され続ける。これによりaiboは使えば使うほど、賢く進化し続ける存在となっている。また、クラウド上に成長データ・個性も保存されるため、故障時にもクラウドデータから復旧が可能。
https://twitter.com/mimizi/status/925571573796388865
今回の「aibo」の技術的な観点での最大の進化は「ディープラーニング」の採用だろう。昨今のディープラーニングによるAIの進化は凄まじい。画像に何が写っているかを判断して文字も読めるるし、囲碁は人に完勝するまでに至っている。
今や生物を追い越すレベルの「学習能力」の実現にクラウド連携&ディープラーニングは必須であり、それを不安定な家庭のWi-Fiに委ねない、サーバー&サービス運用費用の確保という観点でベーシックプランの採用は必須だったのだろう。
感想
単純な見た目での批判をしている人も多いが、新型「aibo」は現時点でのあらゆる機能を詰め込んだ見た目以上に未来的なIoTデバイスとなっている。
昨今日本で発表されたプロダクトとしてはaibo以上に可能性と未来感が溢れているものは存在しない。昨日の決算発表とaiboへの期待からソニーの株価も高騰している。平井社長就任後のソニー完全復活の勢いが凄まじい。
旧型AIBO同様に動きをプログラムするWindows向けアプリケーションも予定されているらしいので、ユーザー同士やSNS発の盛り上がりも期待される。発売後は大きな話題となること間違い無しの「aibo」。予約は激戦となることが予想される。期待して発売を待ちたい。