『週刊少年ジャンプ』新年4・5合併号に掲載された『トマトイプーのリコピン』という作品をご存知だろうか。
『いぬまるだしっ』を連載していた大石浩二先生の読み切り作品であり。これが傑作だったので紹介しようと思う。
大石浩二がジャンプ登場、かわいいキャラのちょっぴり毒のあるやりとり描く https://t.co/cmLvbiHlNX pic.twitter.com/m71mS3Abz3
— コミックナタリー (@comic_natalie) December 26, 2016
↑トマトイプーのリコピンの宣伝漫画
週刊少年ジャンプにおけるギャグ漫画
2017年1月現在『週刊少年ジャンプ』で連載しているギャグ漫画は
- 銀魂
- 斉木楠雄のψ難
- 左門くんはサモナー
- 磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~
- 青春兵器ナンバーワン
の4作品がある。
『銀魂』は今月からアニメ新シリーズも放送開始を控え、展示会『大銀魂展』も行われるなど完結間際にも関わらず人気は衰えるところを知らない。
『斉木楠雄のψ難』もアニメ2期放送が決定し単行本も20巻を超えるなど安定した連載が続いている。
『磯部磯兵衛物語』もボケ・ツッコミが存在しないギャグ漫画という独自路線を突き進み『ピューと吹くジャガー』に次ぐ巻末漫画のポジションを築いている。
各ギャグ漫画の特徴
銀魂
『銀魂』の魅力は何と言っても魅力的な「キャラクター」である。登場キャラクターの総数は500を超えており一作品内の数としては「異常」な数字になっている。内容は話ごとにギャグパートとストーリーパートが分かれており、ギャグパートにおけるノリは毎回変わらず「メタ表現」「パロディ」「下ネタ」が主である。
斉木楠雄のψ難
『斉木楠雄のψ難』はキャラ設定のわかりやすさ、起承転結のストーリー構成が見事な作品である。登場人物全員の「ボケ」によって進むお話に対して超能力者の楠雄が「ツッコミ」を入れてお話全体のバランスを保つという手法は見事である。
クセが少なく、お話がちゃんと「面白い」万人が楽しめるギャグ漫画となっている。
磯部磯兵衛物語
『磯部磯兵衛物語』の魅力は「ゆるさ」である。「ボケ」「ツッコミ」が無いまま展開される話はそもそもの期待値が低い。絵柄の「ゆるさ」も親しみを感じられお話の展開・言葉のセンスには独自の世界観を感じられる。作者の強いギャグ主張がない分「ついでに読む」には適した食後のデザートのような漫画となっている。
ギャグ漫画の構成要素
『トマトイプーのリコピン』をギャグ漫画として分析する前にギャグ漫画の主な構成要素を下記に述べる
- メタ表現
- 時事ネタ
- 定番ギャグ
- あるある
- パロディ
- ブラック
- 下ネタ
リコピンは設定がギャグ漫画向き
そもそも売れる「漫画」の条件は何だろうか。最も影響を及ぼす要素は「絵柄」だと思う。正直なところクソみたいな内容でも絵さえ良ければ売れる。
理由としては「絵柄」は好みに大きく依存する部分だからだ。「絵柄が古い」というだけで読まれない漫画も世の中には多い。「面白い・つまらない」以前に「絵柄」を受け入れてもらえないと読んでもらえないのである。大石先生の過去の読み切り「氷上布武」なんかはオッサンが主人公だったので読んですら貰えなかった分類にあたる。
『トマトイプーのリコピン』の絵柄を確認してみよう。
どう見てもサ○リオである。
だからこそ万人に受け入れられる絵柄となっている。そしてこの「絵柄」は親しみやすさだけではない付加価値を作品にもたらしている。それは「ネタの作りやすさ」である。
上記でギャグ漫画の構成要素を述べたが本作の世界観・キャラ外観が○ンリオとなったことで何をやっても絵面として面白い。リコピンが骨折するだけで面白いしあるあるや下ネタを言っているだけでシュールな状況が生まれている。
「メルヘンな世界観で現実的なギャグ」という発想は大正解であり天才そのものだと思う。
今後の期待
あとは読者投票の結果とサンリ○に怒られないか次第ではあるが、また大石先生の作品をWJで読めることを期待している。
漫画:トマトイプーのリコピン | |
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ジャンル | ギャグ |
掲載誌 | 週刊少年ジャンプ |
掲載日 | 2016年12月26日 |
作者 | 大石浩二 |