レジ袋有料化が必要な3つの理由:ゴミ削減による経済的恩恵

環境省が打ち出したコンビニなどのレジ袋有料化が大きな話題となっている。なぜ有料化が必要なのか、環境保護及び経済的観点で理由をまとめる。

概要

環境省は買い物の際に配られるレジ袋の有料化を義務化する方針を固めた。今後、容器包装リサイクル法などの関連法改正も視野に実施時期・義務化の対象など具体策を議論する。

SNSの反応

コンビニやスーパー等、日常的に利用する場面が多い話題なだけにSNSの反応も多い。

必要な理由

店員の立場などミクロな視点での反応が多いので世界的な状況、経済的観点などマクロな視点で必要な理由をまとめる。

経済的観点

レジ袋最大の問題点は「使い捨て」であること。日本国内では現在、年間300億枚もの膨大なレジ袋を消費している。この殆どはそのまま「ゴミ」として使い捨てられており1人あたり年間7kg、レジ袋・容器・包装は家庭から出るゴミの約6割を占めている。この膨大とも言えるプラスチックごみの処理にも多額の税金が使われている。日本容器包装リサイクル協会によれば平成21年時点でリサイクル費用だけで384億円(参考)。更には容器包装廃棄物を収集する費用だけで1,714億円、リサイクルに適した物を選別して保管する費用に1,342億円と合計で3,000億円以上の税金がリサイクル費用として掛かっている(参考)。また、一般廃棄物のごみ処理事業経費は年間約2兆円。この中には焼却されるプラスチックごみも当然含まれる。

焼却後のごみは埋立処分されるのだが環境規制の厳しい先進国ではゴミ処分のコストも高くなりやすく、今まで世界各国は貧しい国にゴミを押し付けてきた。日本の場合、プラごみだけで年間500億円以上が輸出経費として掛かっている(参考)。これら世界のゴミを受け入れてきたのが中国だ。しかし、2017年にプラスチックを含む24種類のゴミ受け入れ禁止を発表、さらに16種類の受け入れを2019年末で禁止する方針を打ち出した。最大のゴミ輸出先を失った日本が慌ててプラごみ規制に動き出すのも当然の流れと言えよう。処理しきれないゴミは埋め立てするほか無く、国土が狭い日本では将来的に大きな国の負担となり得る。

海洋ごみ問題

環境問題の側面も当然大きい。2010年推計で日本は年間6万トンものゴミを海洋上に流出させている。世界的なプラスチック生産量の増大により海のプラスチック量は2050年までに魚の量を上回る計算となっており、海洋ごみ対策は一刻を争う状況だ。また、プラスチックごみが自然環境の中で破砕・細分化されたマイクロプラスチックの影響も懸念されている。プラスチックは自然分解されないため、最終的に海に行き着き地球環境を汚染し続ける。生物への影響もプラごみの誤飲に留まらず、動物プランクトンがマイクロプラスチックを誤って食べていることも最近の研究で判明した。動物プランクトンの栄養バランスが崩れた場合の生態系への影響は計り知れない。また、生物濃縮の観点で最終的には人間の身体に有害な物質が取り込まれる可能性もある。単に「環境を守ろう!」などという倫理的な課題ではなく実害が目の前に迫っているのだ。

マイクロプラスチックによる汚染の影響を真っ先に受けるのは日本である。環境省の実態把握調査によると日本周辺海域(東アジア)では北太平洋の16倍、世界の海の27倍ものマイクロプラスチック(個数)を確認。海洋資源の消費も多い日本人が真っ先に海洋汚染の影響を蓄積することとなる。

世界的な動き

プラごみによる経済的・環境的損失の影響を真っ先に受ける立場にも関わらず日本のゴミ対策は非常に後ろ向きだ。カナダの先進7カ国首脳会議(G7サミット)では日米が海のプラスチックごみを減らすための数値目標(2030年までにプラ容器のリサイクル・再利用を55%以上、40年までに100%にする)を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」に署名せず、環境団体から批判が相次いでいる。

世界では国連が2022年までに使い捨てプラスチックを含む海洋ゴミの発生源を排除する国際キャンペーン(UN environment 2017)を実施しており、イギリス、カナダ、イタリア、フランスを含む30カ国以上が参加している。アメリカでも各州・地域レベルでは法整備と取り組みが進んでおり、プラごみ規制は既に世界的な動きとなっている。東京都の小池知事が紙ストローを試験導入した取り組みもこの流れに沿ったものであり、世界的には何ら違和感を感じない。日本としても国際社会から孤立しないためにプラごみ削減に取り組むのも当然と言えよう。

感想

そもそもゴミ輸出の問題やマイクロプラスチックの環境問題を考慮せず、身の回りの利便性ばかり重視してるのでは単に未来の世代に問題を押し付ける形となってしまう。今回のレジ袋有料化に関しては各個人がエコバッグを利用すれば解決するだけの話であり、不満を垂流す意味が分からない。また、レジ袋はプラごみの一部と宣う輩も居るが重要なのは各企業の取り組みと個人での意識改革であり、分かりやすい「レジ袋有料化」に踏み切るのは当然の流れと言えるのではないだろうか。まずはレジ袋からーという話で長期的視野ではプラごみ全体の削減を目標としている。ここに関してもミクロに捉えてはならない。次世代に問題を先延ばししないために各個人レベルで取り組みが可能な今こそ一人ひとりの意識が重要となっている。

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