【W杯ブーイング問題】西野監督の時間稼ぎが英断だった6つの理由

6月28日に行われたFIFAワールドカップ ポーランド戦の時間稼ぎが話題となっている。

概要

問題となっているのは日本-ポーランド戦の終了間際の両チームのパス回し行為。ポーランドに1点ビハインドで迎えた終盤、セネガル-コロンビア戦の試合状況からこのまま負けても決勝トーナメントに進出できると判断し、西野ジャパンは1点差での敗北を選択。終了までパス回しによる時間稼ぎを行った。

SNSの反応

フェアプレーポイント差による決勝進出にも関わらず、フェアプレーには遠かった試合内容。Twitter上では批判の声も見られる。

英断だった理由

批判の声も一部見られるが決勝トーナメント進出を優先した西野監督の采配は英断だったと思う。理由を解説してみる。

最優先は決勝進出

結果として日本は決勝トーナメント進出を決めている。開催前は「どうせ3連敗」「期待できない」と散々な評価だった日本代表が2大会ぶりに決勝トーナメントに進出したのは紛れもない事実である。そもそも時間稼ぎを選択した時点で国内外から批判に晒されることも西野監督は十分理解していたはずで、決勝に進む上で最も確度が高い選択を行った形となる。少なくともあのままの流れで同点を狙いに行くより、結果をコロンビアに委ねて守りに徹した方が良かったことは間違いない。今回の試合内容を批判している人はポーランド戦で無理して勝負しに行った結果、決勝Tに進めなくなったとしても同様に批判をしたはず。彼らの中には結果・利益よりも姿勢を重んじる社畜精神が根付いているのではなかろうか。

ドーハの悲劇を防いだ

1993年、同様の展開で貪欲に点を取りに行った結果起こってしまった「ドーハの悲劇」。今回の試合もクソ真面目に勝負を続け2点差になっていたら日本は敗退する結果になっていた。終盤の試合内容は見事に教訓を活かした形となっている。試合後に長谷部が語っていたようにこれも「勝負の世界」であり、立派な戦略である。セネガルが追いついていれば敗退危機もあったため、西野監督はリスクを負いつつも賭けに勝った形だと言えよう。

経済効果

決勝トーナメント進出は日本の景気にも大きく影響する。決勝に進んだ場合の市場効果は3000億円~5000億円にも上るとの見方もあり、今回の西野監督の英断はその損失を防いだ形だと言える。飽くまでチームは「日本代表」であり、観客を「気持ちよくさせる」ためにプレイしている訳ではない。エンターテイメントとしてのスポーツを楽しみたいなら素直に高校サッカーでも見ていれば良い。

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ルール上問題なし

多くの人は感情論ベースでの批判を行っているが、日本代表が行った行為はルール上も全く問題がない。W杯がリーグシステムを採用している以上、こういった試合が発生することは想定の範囲内であり他の国でも状況が同じなら同じ選択をすると思う。決勝T進出という事実は定められたルールに則って正々堂々戦った結果であり、今回の試合を批判している連中はそもそもサッカーをやったことすら無いはず。格ゲーで強キャラばかり使うプレイヤーを批判する心理に似ている。今回の件が気になる方は永遠にトーナメント形式のスポーツのみ鑑賞してれば良い。

日本の実力は低い

フェアプレーをしつつ決勝に進めと訴えている人間は日本代表の実力を全く理解していない。日本のFIFAランキングはグループリーグ内でダントツの最下位であり、決勝Tに進出できたこと自体が奇跡に近い。実力が無い以上、生き残るためには「なりふり構わず」もがくしか無いに決まっている。コロンビア戦は序盤のレッドカードに助けられ、今回の試合も川島の神セーブが無ければ1点差に抑えられなかった。そんな中で全力を尽くした選手たちを掌返しに批判できる精神が理解できない。

決勝トーナメントで結果

何にせよ次から行われるのはトーナメント形式の試合なので同様の試合が起こることはなく、日本代表に実力が無ければそのまま敗退となる。純粋に1対1の試合を楽しみたい「ファン」も次からは楽しめるはずである。批判をするのは次の試合の結果を観てからでも遅くはないだろう。まずは対戦相手が決まるのを楽しみに待ちたい。

サポーターのあるべき姿

そもそも今回の件を批判している人間は本当にサッカーファンなのだろうか。少なくとも試合を「エンターテイメント」として楽しんでいる人種なように思える。個人的にはサポーターのあるべき姿はファンが選手と一体となり、苦しみも喜びも共に味わうことに醍醐味があると考えている。批判している方々は選手や監督の心情など考えていないだろう。W杯を機に盛り上がりたいだけのエンジョイ勢が多すぎることも大きな問題であり、結果は関係ないと豪語する猛者まで存在する。今回の件に対する見方はサッカー観戦に対する一種のリトマス紙としての役割を担うことになると思う。

感想

Twitter上のアンケートを見る限り擁護する意見が多いのでひとまず安心した。以前、なでしこジャパンが同様のサッカーを行った際にも批判があったが、「勝負の世界」を理解して無さ過ぎる。安直な批判をしている人たちは今回の件を機に姿勢を改めて欲しい。

サッカー女子 2019年W杯出場をかけたオーストラリア戦が4月13日放送された。その中で無気力試合とも取れる行為が見られたので記事にまとめる...
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コメント

  1. 匿名 より:

    日本サッカーがより栄えるためにはサッカー人口を増やすのが命題であり、それこそ重要なのはあなたが問題だと言っている普段サッカーを見ない人達の意見では?

    普段からサッカー見ている人が満足してそれ以外の人がつまらないと思えばどれだけ勝ち上がろうとサッカーファンは増えませんよ。

    つまらなかったものをつまらないと言ったらサッカーファンが批判してくるとなれば日本サッカーの今後も真っ暗ですね。
    日本でサッカーが流行らない理由がわかった気がします。

    あなたこそ本当にサポーターであれば姿勢を改めるべきでは?

    • タコッケー より:

      コメントありがとうございます。
      サッカー人口を増やすことが重要という意見については同意です。
      その上で重要なのは決勝トーナメント進出という「結果」です。
      決勝トーナメントに進出したことにより放送される試合が最低でも1戦増え、数千万人の視聴者が熱狂する訳です。
      既に提示した経済効果からも分かる通り、サッカー人口を増やす上では手段を選ばずに勝つ必要があったのです。
      スポーツの強豪校が強豪校であり続ける理由は「気持ちいい試合」をしたからではなく、大会○位等の「結果」を残しているからです。
      W杯においてもこれは同じで試合内容よりも「決勝トーナメント進出」という事実が大きく影響します。
      また、アンケート結果を見てもらっても分かる通り、満足したのはサッカーファンのみではありません。
      つまらなかったという意見自体は問題としていません。
      実際に試合展開にあなたが求める「エンターテイメント性」は無かったと思います。
      あなたに対しても「サッカーファン」になれと言っている訳ではなく、今回の件は一見同じ姿勢で応援しているように見えるファン同士の中にも明確な違いが存在することが明らかとなった。それだけです。
      エンターテイメントとして作品を消化する一般人と作り手側を想像して楽しむオタクとの違いにも似ていますね。
      「真っ暗」等物事に対してネガティブな印象が強過ぎる印象を受けた意見でした。
      サッカーが流行らない、というのも貴方の主観でしかありません。
      あなたこそサッカー云々以前に人生の姿勢を改めるべきでは?
      ありがとうございました。

    • raplus より:

      >匿名さん

      確かに試合内容は少し残念ですが、決勝トーナメントに進めば賞金も増えたりするので日本代表としては仕方ないでしょう。

      まあTwitterをまとめて少し装飾しただけのアフィリエイト記事に熱くならずに決勝Tで日本を応援しましょう。

      • タコッケー より:

        raplus様、コメントありがとうございます。
        要点をわかりやすく伝えて頂き感謝です。
        素直に決勝T応援しましょう。

  2. 名無し より:

    日本がした選択についてはルール上問題ないので私も特に何も思いません。
    しかし、ならば、他の国が日本に対して同じことをしてもそれを責めないと言うことを約束しなければならない。が、おそらく日本人はそうではない。
    PKの判定も、オフサイドの判定も日本にとって不利益でないものは受け入れるが不利益なものについては批判する。時に審判とグル、八百長などとさえ言う。そういうことを日常的にしている国が、今回の日本代表の行為の正当化を謳うこと自体に大きな違和感を覚える。

    • タコッケー より:

      コメントありがとうございます。
      「おそらく日本人はそうではない」←意味不明です。
      ネット上での批判の声の多くは一部の層が声を大にして言ってるため目立っているだけです。日本人全体の話にすり替えないでください。
      グル・八百長の話を日常的にしている「人」が居るだけで、それを全体的な意見と思うのなら掲示板、実況、SNSといったネット上の意見に毒されすぎです。もうちょっと外に出ましょう。
      正当化以前にルールに則った手順で勝ち進んでいます。「べき論」の話を出来るのはそれだけの実力があるチームだけであり、日本代表はその域に達していません。
      ありがとうございました。

  3. 匿名 より:

    もうこれが正しかったとかは疲れたので考えないようにしていますが、今後のルール改正は間違いなく必要だと思います。
    サッカーは勝負事かもしれませんがエンターテイメントでもあり楽しさや夢などを人に与えるものでもあるので、こんなモヤモヤした気持ちにさせられるルールは勘弁してほしいです。
    ルールに従っているんだから問題ない、で完結しないでほしいですね。

    • タコッケー より:

      コメントありがとうございます。
      疲れるほど調べたり考えてる割には生産性のない意見で残念です。
      ルール改正が必要と仰るなら具体的な改正案を示してください。
      また、選手や監督にとっては「勝負」でしかなく「エンターテイメント」では全くありません。「楽しさ」「夢」だのふわふわした意見は記事内で述べている「エンターテイメント」として消化したい人々の勝手な考えであり、前述の「サポーター」の定義からは外れる内容だと考えています。
      ルールの是非については組織委員会で議論が行われるべき内容であり、日本のスタンスとしてはルールに従ったのだから問題ない、で完結する話ですね。
      ありがとうございました。

  4. 匿名 より:

    今回の件、否定派の「感情論」はまあ理解は出来るし、そういう反応がネットに溢れかえるんだろうなあ……と思いながら試合見てました。でも私は肯定派ですね。まずは彼らにおつかれさま、ありがとうと労いたいと思います。

    今回の件って実に単純な構造なんですよね。
    [GLを通過する]ということが大前提の目的であり、その前提の下で西野監督及びベンチスタッフがコロンビア先制の情報を手に入れ、[日本が残り時間ポーランド相手に守り切る]ことと、[セネガルがコロンビアに追いつく]ことを天秤に掛けて、よりリスクが低い方を選択したというだけなんですよね。実に合理的な判断だったと思います。ポーランドはかなりの格上なんだから、どっちが低リスク高リターンかは誰でも分かる話。

    そりゃゲームとして見ればつまんないゲームでしたが、この采配は個人的には高く評価しているんです。今までなら「情緒的な世論」という非常に曖昧で移ろい易い物に流されて、カッコつけて、結果失敗したり何も成し遂げられなかったりということが、サッカーに限らず日本には多かったわけですが、漸くこういうリアルな判断が出来るようになったか、と。本気で世界と戦って勝ちたいならこういう判断はやっぱ必要だと思います。コロンビア頼みの他力本願だと言う人もいますが、目的を達成する可能性をわずかでも上げるために使える要素はルールとしてあるならば頼っていいじゃないですか、と。卑怯でもなんでもないですからね。

    海外から批判されてるとか、恥とか言っても、これ、外国人の友達との友好草サッカーではなく、トッププロ同士の戦いですもんね。プロ同士の戦いは負けはアマチュアが考えている以上にデカいのだから、語弊のある言い方かもしれませんが、敵が嫌がることしなきゃ。敵に褒められる必要なんてないんですよ。真剣勝負の世界で負けて敵に褒められるって言うのは、見下されてるのとほぼ同義ですからね。そういう意味でも「海外からの批判?上等だわ、もっと言えw」と思ってますw

    サムライじゃない、なんて意見もよく見かけますが、日の丸背負って我々一般人の手の届かない戦いをし、目的達成のために苦渋の決断をした選手と監督やスタッフは立派なサムライだと思っています。色んな意見はあっていいとは思うのですが、そんなサムライたちに涼しい部屋でテレビ見ながら「恥ずかしいから特攻して散ってこい」とは僕は言えません。まずは彼らを労うのが優先順位として先にくるはずですよね。

    長々と失礼しました。

    • タコッケー より:

      コメントありがとうございます。
      非常に分かりやすい内容で同意見です。
      情報戦も現代のサッカーらしく見どころの一つでしたよね。
      「合理的な判断」だった理由もその通りだと思います。
      「恥」や海外からの評価を気にしすぎるのは島国である日本特有の文化ですね。
      ハラキリした方が潔いと古い考えの方が未だにいることにも驚きです。
      「サムライ」も自ら名乗ってるのではなくメディアが勝手に囃し立てただけですよね。
      参考になるご意見ありがとうございました。

  5. 主下手 より:

    あの戦い方で良かった思います
    武士なら潔く戦うでしょう
    泥臭く戦って勝つことに
    意義をもつことがサムライ道と
    思ってます