【絶版】転売行為は悪なのか?正当性を3つの観点から考えてみる

6月28日、チケットの高額転売を巡るダフ屋行為禁止法案が提出される見通しとなった。そこで今回は「転売行為」の是非について考察してみたい。

法案について

チケットの転売行為については現在、多くの都道府県が迷惑防止条例でダフ屋行為を禁止している。ネット上での転売は対象外だったが今回、興行主の同意を得ずに定価を超える価格で販売する行為を「不正転売」と定義。懲役1年以下か罰金100万円以下の罰則が定められた。2020年の東京五輪・パラリンピックにおける転売行為防止を念頭に置いた法案となっている。

転売行為の正当性

ネット上で横行する転売行為に対して待ったを掛ける法案に「転売厨ざまあ」の声が相次いでいるが、転売は一概にと言えるのだろうか。転売行為に正当性が認められるケースを考えてみたい。

生産・販売側の責任

勘違いしないで欲しいが筆者も転売行為には腹を立てており、転売厨には撲滅して欲しいと思っている。しかし、世の中で行われている転売の中には「販売側」にも問題の一端があるケースも存在する。顕著だったのは京都高島屋で行われた100体限定の人形の買い占め行為だろう。中国人とみられる男性は並び代行を利用して整理券を集め他の客の代金も支払い、高島屋もそのまま販売を行ってしまった。その後、東京での受注販売実施時には販売方法も改めている。

転売行為が顕在化している現在、話題性のために対策無しで限定販売を行うことは時代に即していない。Supremeの件でも限定販売するからこそ商品が高額転売されている訳でいっそのこと「限定販売」自体をやめるべきでは無いだろうか。重要なのは本当のファンの手元に商品が届くことであり、受注販売にすることで悲劇は防げて過剰生産のリスクも無くなる。フリマアプリ、オークションサイトの台頭で個人間の商取引が盛んとなった現在、転売行為自体に歯止めを止めることは現実的ではない。販売側の対策が必ず必要となる。

今回の禁止対象となる「チケット」は席数が限られるため、ダフ屋行為による価格高騰を防ぐ手段が無い。チケットに関しては法規制が必要なことには納得できる。最近申込みが開始された宇多田ヒカルの全国ツアーは顔写真登録必須など徹底された転売対策が話題となった。今の時代ここまで徹底的に対策をしなければ転売がまかり通ってしまう。販売側にも徹底した対策をお願いしたい。

購入側の責任

定価を超えた価格で出品されているにも関わらず購入してしまう側にも問題がある。転売ヤーからの購入はそのまま転売者の利益となり、本来のアーティスト・作り手側に金銭は一切入らない。差額の利益を元に再び転売行為を行い助長させる結果となってしまう。転売品を見つけた場合の正しい対処は「購入しない」ことだと言えよう。最近は転売が確認されたチケットの場合、入場を断るケースも多い。被害を防ぐためにも購入側も注意が必要となる。

絶版・プレミア品

絶版・プレミア品の転売行為は非難されるべきではないと個人的に思う。再販が行われない以上、該当商品が定価以上の価値を持つことは市場原理として正しいし、コレクター商品を定価で売れという主張は無理筋がある。漫画・アニメ・ゲームに限らず、入手が困難な作品はそれ自体に資料的価値が発生している。この価値を理解し大切に扱ってもらうため、また価値を理解されず捨てられてしまう損失を防ぐためにも価格の上乗せはファンとしても歓迎したい。

例えばN64の名作ゲーム『がんばれゴエモン~ネオ桃山幕府のおどり~』のサントラは中古品で15万円の価格にまで高騰している。ファンとしてはこの価格が妥当だと思うし、それだけ素晴らしい作品・音楽として評価されていることに喜びを感じる。作品が持つ「価値」を示し本当に必要としている人の元に渡るためにも絶版品・コレクター品が定価以上になってしまうのは仕方がない。

感想

転売について感情論ベースでの批判が多いように思えたので「許される」ケースとして考えてみた。コレクターとして楽しむ上では価格高騰も嬉しくなる一つの要素だろう。筆者も自宅には絶版となったサントラCDを複数保有しており、生活に困れば定価以上で販売・あるいはまんだらけに持ち込むと思う。一概に批判するのではなく販売側・購入側・絶版品の観点でも議論が行われることに期待したい。

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コメント

  1. こんへて より:

    転売ヤーからの購入はそのまま転売者の利益となり、本来のアーティスト・作り手側に金銭は一切入らない。と言っておきながら、
    それだけ素晴らしい作品・音楽として評価されていることに喜びを感じる。だって?
    あんた一体誰の見方だよw
    自分の味方か?なら筋が通る記事だなw

    • タコッケー より:

      こんへて様、コメントありがとうございます。
      典型的な感情論ベースの話で夏を感じます。
      引用されたコメント部分は「絶版・プレミア品」についての部分ですね。
      これに関しては「転売云々」抜きでレーベル・出版社レベルでの廃盤・絶版問題が含まれています。
      その類の「コレクターアイテム」を持っている方は紛れもない「根っからのファン」であり、それを高額で買い支える方も同様の「ファン」層です。
      記事内で挙げている「がんばれゴエモン~ネオ桃山幕府のおどり~」に関して言えば開発中に社内での悶着もあったため、コナミ社内で「無かったこと」になっています。
      メーカーに個人的に問い合わせたこともありますが現時点での再販予定は無いとのことでした。
      そういった政治的背景も踏まえた上で「入手不可」となったアイテムは「アート」のようなものであり、作品(作者)人気によって価格そのものが変動します。
      発売から20年以上が経った現在でも「プレミア価格」であることは同作が紛れもない「名作」であったことの現れであり、現時点でも同作のファン層が存在することの証明でもあります。
      公式から音沙汰が無いコンテンツに対し現在でも「ニーズ」が存在することを確認し、喜びを感じるのはファンとして当然の見方だと思いますよ。
      もう少し勉強して色んな見解を持ちましょう。
      ありがとうございました。