【IOC】eスポーツをオリンピック競技化する上での3つの問題点

IOC(国際オリンピック委員会)がe-Sportsのオリンピック競技化を議題として扱う公開討論会を開くことが話題となっている。今回はオリンピック競技化する上での課題、懸念、問題点をまとめてみたい。

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概要

IOC(国際オリンピック委員会)とGAISF(国際スポーツ連盟)は7月21日に「eスポーツ」のオリンピック競技化を議題として扱う公開討論会を開催することを発表した。参加者には選手やパブリッシャー、スポンサー、イベント主催者なども含まれており、eスポーツ業界との共同理解を深め関係性を構築することを目標としている。フォーラムで議論される内容のハイライトは下記の通り。

  • eSportsの世界
  • オリンピック活動の定義
  • 成功の鍵(インタビュー)
  • IEM平昌大会でにおける注目点
  • コラボレーションのための可能性
  • エリートプレイヤーの1日(インタビュー)
  • 全てのスポーツにおける性的平等
  • 包括的議論
    • 組織体制
      • ガバナンス
      • 構造
      • ベストプラクティス
    • メディア・放送
    • アスリート視点
    • 投資家視点

前半の解説は関係性構築のためのリップサービスでフォーラムとしての本題は「包括的議論」の部分だろう。

問題点

ここ数年で一気に動きを加速しているe-Sports界隈。競技人口も増えており、公式大会やイベントも開催され新たな局面に差し掛かっている。しかし、オリンピック競技化をする上ではクリアするべき課題も多い。一つずつ確認してみよう。

タイトル選定基準と利権問題

オリンピック競技化を検討する上でどのタイトルを競技種目にするかは最大の争点となる。ゲームはタイトルごとに開発・販売する企業が異なっており、オリンピック種目に決まればプレイヤー人口と売上の大幅な伸びが期待できる。となると絡んでくるのが利権問題でありプレイヤーと売上を伸ばしたい企業がIOCに対して多額の出資を行うスポンサーとなり、競技種目として採用してもらう流れが出てくるのは必然である。しかし、資本力に物を言わせられる企業のゲームが競技性が高いeスポーツ向きのゲームとは限らない。P2Wを推し進める『クラロワ』や『パズドラ』なども自称「eスポーツ」であり、ルートボックス問題も絡むような作品が選ばれれば「eスポーツ」引いては「オリンピック」そのものに対するマイナスメージが付いてしまう。

また、作品そのものの寿命も重要なポイントだろう。最近流行っているからと言って競技種目として認定されても、オリンピックが開催される4年後には誰も遊んでいない可能性があるほどオンラインゲームの流行り廃りは激しい。プレイ人口の多さと運営期間を考えると『League of Legends』(9000万人)は圧倒的でテニスの1億人に間もなく追いつく。特定の国だけで流行っているゲームは選ばれることは無いのでまずはプレイ人口ベースでの選定が行われるはず。

不正・チート行為の防止

スポーツにおけるドーピングに当たるチート行為を未然に防ぐ方法も重要。最近はリプレイ動画も公開され視聴者の検証によってチートが判明することもある。現在、行われているような「見てバレる」チートを防ぐこと自体は難しくはない。しかし、ゲームは性質上、開発する企業がバランス調整を行い仕様を把握している。その気になれば開発側で意図的にバグ・抜け穴を用意して特定の選手が有利になるよう情報を流すことも可能なはずだ。選手のアスリートとしての独立性を保ち、開発・運営を行う企業への調査をどのように行うのか。組織としての体制づくり、レギュレーション策定が重要となってくる。

「オリンピック」として開催する意味

近代オリンピックでは昔、絵画・彫刻・文学・建築・音楽といった芸術競技が行われたこともあった。そのためオリンピック種目として「ゲーム」が採用されること自体は個人的に違和感が無い。しかし、スポーツの定義として汗を流す「運動」のイメージを持つ世代からは多くの反対意見も飛び交うことが予想される。タイトル数も多いのだから別開催で開いたほうがスマートではないだろうか。e-Sportsとしての祭典をIOCが開催するのであれば種目を絞る必要もなく、対象となる層も含めて棲み分けが出来る。

しかし、背景にはオリンピックの視聴率問題があるのではと推測する。オリンピックは「コカ・コーラ」を始めとした大手スポンサーが居ることによって運営が行われている。しかし、2016年のリオ五輪では思ったほど視聴率が振るわず「マクドナルド」「バドワイザー」といった大手スポンサーの降板が相次いだ。IOCとしては新たなスポンサーを獲得しつつ、オリンピックをメディア・放送の観点でも盛り上げたい思惑がある。投資家を取り込む上では「eスポーツ」単体での開催では正直ゲーマーしか観なくなり、スポンサーに付く企業も限られてしまう。ゲーム企業をスポンサーに取り込みつつ幅広い人に注目してもらうにはオリンピックにねじ込むしか方法が無い。オリンピックの意義、目的と照らし合わせた上で採用を検討して欲しいところ。

感想

オリンピック競技として「eスポーツ」が取り扱われ注目が集まるのは良い流れだと思う。正式採用されれば日本での偏った見方も徐々に変わってくるはず。ゲーム業界が盛り上がるのは嬉しいことなので是非とも採用の流れで進めて欲しいが、上記の問題点を解決する形でのレギュレーション策定には全力を注いで欲しい。いずれにしても採用はまだ先の話なので今は静観して見守りたい。

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