Twitterトレンドで「いいね」機能の廃止が大きな話題となっている。これは所謂デマ記事なので詳しい経緯を説明してみる。
概要
Twitter to remove ‘like’ tool in a bid to improve the quality of debate https://t.co/19U3eonfrp
— The Telegraph (@Telegraph) 2018年10月29日
話題となっているのはイギリスの新聞メディア「テレグラフ」が報道した記事。Twitterが「いいね」機能を削除し議論の質を向上させるーと機能廃止が決定事項のように報じている。記事を書いたのはテレグラフの記者Margi Murphy。
経緯
事の発端はTwitter社のCEOであるJack Dorsey氏の発言。WIRED25 summitで「Twitterを根本的に変更する必要があるかもしれない」と全ての選択肢を検討していることを示唆している。また、Margi Murphyの発言を見るとJack Dorsey氏と直接話している様子。CEOがTwitter機能の見直しを検討していることは間違いないだろう。
As we’ve been saying for a while, we are rethinking everything about the service to ensure we are incentivizing healthy conversation, that includes the like button. We are in the early stages of the work and have no plans to share right now. https://t.co/k5uPe5j4CW
— Twitter Comms (@TwitterComms) 2018年10月29日
この報道内容に対してTwitterチームは即座に反論。健全な議論のためにサービスに関するあらゆる可能性を検討しているだけで作業も初期段階にあり、共有可能な事項は無いとのこと。少なくとも「いいね」機能廃止ーは社内でも決定されていない。
流れをまとめると
- CEOがTwitterの根本的な見直しを示唆
- テレグラフ記者がインタビュー
- テレグラフが機能廃止を報道
- Twitter社が否定
という状況。印象的にはテレグラフが裏付けを取らないまま先走り報道した感が強い。過去にTwitterがタイムライン表示の切り替えテストを行ったように告知→テスト運用後の実装となるため、即座に機能廃止される心配は無いと言えよう。
問題点
Facebookがロシアのフェイクアカウントに1100万円分の広告を販売https://t.co/y6f94eSQrI
— GIGAZINE(ギガジン) (@gigazine) 2017年9月7日
「いいね」機能が廃止されない理由は伝わったと思うがTwitterが「根本的な見直し」を行っている段階にあることは事実である。背景には海外で広がるフェイクニュース、SNSの政治利用問題が存在する。2016年の米大統領選ではFacebookの広告枠でデマが拡散され、Twitterでもテロ利用された30万件のアカウントを停止している。
Twitterは下記の性質上、デマが拡散しやすいのは今回の件を見ても明らかだ。
- 140文字という限られた情報量
- 投稿内容を見てわずか数秒で発信側になれる(RT)
- 匿名性の高さ(=責任を伴わない)
政治的に偏った思想も拡散されやすくRT・いいね数から「正しい情報」との誤解も生じやすい。SNSが政治的に中立な立場でなくなってしまった以上、機能の抜本的な見直しが求められるのは必然だと考えられる。
情報元の確認を
デマを防ぐ仕組みが用意されていない以上、現在は各利用者側で注意するほかない。RTして情報発信者になる前に必ずソースを確認し、誤った情報を拡散させないことが重要。本当に重要なのは各メディアが正しい情報を発信することだと思うのだが、どのWebメディアを見てもアクセス数(=お金)さえ稼げれば良いのか誤解を招きかねない見出しを付けているところが殆どだ。利用者においては刺激的な見出しの印象操作記事に対して疑いの目を持って掛かり、フェイクニュースに騙されないように注意して頂きたい。