再開された「表現の不自由展」内の映像展示「気合100連発」関連で印象操作される馬鹿が多いので意見記事。
目次
概要
そもそも自由って「君達を縛ることはしないから節度は君達自身で守るんやで」って意味であって自由って言葉が一人歩きするとこういう馬鹿が湧く
https://t.co/bUafjaWnHF— T・ナガシマウス・ムンチャクッパス (@YURO1031) October 8, 2019
10月8日「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展」が再開。その中の展示の一つ「気合100連発」がネット上で話題になっている。
反日でない理由
SNS上では「反日」「被災地を馬鹿にしている」など否定的な意見が多数だが、作品自体が批判されるべき内容かは疑問が残る。理由を一つずつ説明してみよう。
動画は編集済み
不自由展の東北揶揄
1:43~
放射能が出てるよ!(Radiation is leaking)
放射能最高!×3回(Radiation is great)
放射能最高ですか?(Is Radiation great?)
放射能最高なんですか?(Is radiation really great?)
もうちょっと浴びたいよ!(I wanna take it a bit more)https://t.co/4HhCgJN0QJ— nanasa (@77nanasa3) October 8, 2019
問題視されている動画がこちらだが、動画は意図的に編集されている。そもそもオリジナルの映像作品の長さは10分30秒。それに対し拡散されている動画は2分30秒ほどの長さに切り取られている。動画の長さは動画内に映っている作品プレートの説明や森美術館のサイトからも確認可能。
作品としての文脈や意図を確認・理解もせずに「部分的」な情報を拡散するのは皆が嫌うマスゴミと何ら変わらない。潤うのは意図的に情報を歪曲し拡散したネットニュースサイトだけ。
叫んでいるのは被災者
#被爆最高 で非難してる輩は、言葉じりだけ捉えて意味わからず拡散していくSNSのマヌケさを象徴してるな。
彼らは震災直後の立ち入り禁止内で誰も助けに来ないのに瓦礫の撤去を続ける地元の若者。「周りに放射能?最高じゃねえか」ってある意味悲痛な開き直りだろうが。https://t.co/091ZCDDSUv— コーヒーブルース (@CFTQS1VWhVuj2ih) October 9, 2019
「被災者の気持ちを云々」と正義ヅラしてる人も多いが、そもそも動画内で叫んでいる10人の内訳は被災した男の子たち6人とChim↑Pom4人。ソースはREALKYOTOの記事を参照。記事内にもある通り表現しているのは飽くまで「被災当時の若者達のエネルギー」であり、そこには批判と皮肉も混じっているものの政治的意図も無い。
アドリブ・一発撮り
僕の知ってることをとりあえず書いておく。
チンポムはまだ被害の爪痕生々しい津波被災地に行き、地元の若者と出会い、一期一会的だったかもしれないが、人間関係を築いた。そこでこのビデオ作品を作ることを思いつき、提案し、相手はやりたいと言った。順番に叫ぶ言葉は自由、とっさのアドリブ。(続く https://t.co/WiUmw6ayGs— 会田誠 (@makotoaida) October 9, 2019
映像は公式サイトに記載されている通り「すべてアドリブ、一発撮り」で収録された作品である。彼らは壊滅した街で約2ヶ月間を放射能の恐怖に晒されながら過ごしてきた。「最高!」と開き直るのは切実な叫びであり、前を向いて生きようとする強い意思の表れでもある。
現代アートへの無理解
Chim↑Pomの気合い百連発を日本を貶めてるとか放射能がと盛り上がってる方々は、被災直後のどうしようもない不安や憤りや自粛、「詰み」の中で声をあげることすら困難だった中で、皆で体で生の声を取り戻すことの切実さを全く無視している。八年後の安全圏からの暴力だ。
— hyperneko (@Mars729) October 9, 2019
Chim↑Pomの作品がよくわからん批判されとるが、あれはいろんな場所で背景含めなんども展示されたもので、批判や皮肉を込めた作品なんだけど、それが伝わらずに拡散されてるのマジアレだし、この状態が続くと現代アートのアーティストは日本で作品だしたくなくなるやろなあ。
— funa (@fun00) October 8, 2019
表現の不自由展に展示されたものをはじめ、Chim↑Pom(チン↑ポム)の作品に対するTL上の否定的な反応を見れば見るほど、見る者の情動を揺さぶる彼らの作品はまさに現代アートなのだという感を強くしております。
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) October 9, 2019
そもそも批判している人の何割が実際の「映像作品」を観たのだろうか?オリジナルの10分30秒の作品を観た上で批判しているのは1%にも満たないはず。ほとんどの人は「部分的」に文字起こしされた情報を信じ込み、「表現の不自由展」や「津田大介」「チンポム」に対するネガティブな印象から「ヘイト」と決めつけて掛かったのではないだろうか。つまり「作品」→「誤った情報拡散」→「受け手」の文脈で届いている状況であり、最近の作品で例えるなら
- 映画『ジョーカー』が公開
- 映画評論家が「犯罪を助長する」と酷評
- 部分的に切り取った犯罪シーンが拡散
- 作品を観ていない人も同調して批判
みたいな状況。私は「作品」に対しては飽くまで単体で判断し「自分」が観て感じたことを大事にするが、皆さんは違うのだろうか。本作は東京国立近代美術館にも収蔵されているので自身の目で全部観た上で判断するべき。単なる「ヘイト」で済まされる作品が森美術館や国立近代美術館に収蔵される訳が無いだろ。
チンポムが糞なのは別問題
あーはいはい、この放射能最高とか言ってるのチンポムって集団な。それこそ津田大介とか茂木健一郎が昔から持ち上げてた「過激なことやっとけばok」的なお馬鹿系アーティスト様だろ。
一番有名なのは広島の空に飛行機雲で「ピカッ」と書いて謝罪したやつね。
露悪=芸術って思考なんだからお手上げよw pic.twitter.com/2gqu3yF4CP— dejavu (@920dejavu) October 8, 2019
作者であるアーティスト集団「Chim↑Pom」自体を擁護するつもりは無い。彼らが過去に広島上空に飛行機雲で「ピカッ」という文字を書いたり、岡本太郎の壁画「明日の神話」に原発事故を思わせる絵を付け足すなど問題行為を繰り返している。発表される作品も現代アーティストとして素晴らしいーとは到底思えず「悪ノリ」に近い内容も多い。
とはいえ「アート」を「美の追求」だとか「人を不快にしない前提」と捉えてるなら大きな間違い。ゴッホですら当時は散々バッシングを受けていた訳でアートに対する評価は時代時代で大きく変わるもの。バンクシーも将来は迷惑行為を繰り返す輩としてバッシングを受けるかもしれないし、チンポムの行為が評価される時代が来る可能性もある。現時点では飽くまで個別の「作品」に対して評価するべきで、それも部分的に確認するのではなく先入観を持たずフルに観た上で初めて語る土俵に立てる話。作者やメーカーで判断したり、序盤だけプレイして「クソゲー」とか言うのも馬鹿げている。
表現の不自由展(津田)が糞なのも別問題
個々の作品はそれぞれ意味があっての作品だったでしょう。3つの作品が問題になっていますが、1つだけなら問題にならなかったと思います。しかし一方向のヘイト作品を複数揃えるとプロパガンダとしての意味が発生します。これまでのインタビューなどから津田氏や実行委員が企んだとしか思えません。
— 紫蘭 (@shiran_ECO) October 6, 2019
きな臭い印象しか無い「表現の不自由展」だが、作品は飽くまで個別判断すべきだと思う。そもそも「気合い100連発」自体今まで何度も展示されてきたが過去には何も問題視されなかった。「津田大介」「表現の不自由展」に対する先入観と「放射能最高」等の部分的な文字起こし、拡散によって「ヘイト」と解釈されたに過ぎない。交付金云々も作品とは無関係で情報だけで判断するのも余りに馬鹿過ぎる。
感想
SNSやネットニュースで10秒で情報を判断して拡散することが可能になった現代。利用する個人が自分に都合の良いよう恣意的に情報を解釈してしまう時代が来たことを象徴するような事件だった。作品としての趣旨も理解せずに言及することは自身の馬鹿さを露呈することに繋がるので皆さんも注意して頂きたい。
コメント
10分半全部見た上で全くいい印象は受けないがなぁ…
記事の趣旨は「反日ではない」理由説明です。
アートの感じ方は人それぞれでしょ。