『フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』ローカライズが光る作品【感想・レビュー】

今回はPS4向けタイトル『フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』を紹介したい。トロコンまでプレイ済み。

不思議な屋敷で語られる10つの不思議な物語

本作は主人公の実家であるフィンチ家の屋敷を探索する中で、失踪・死亡した家族の真相を追体験していくゲームである。ジャンルはPS4タイトルで言うと『幸福な消失』同様の1人称視点のアドベンチャーとなっている。

本作を開発したのは『The Unfinished Swan』で知られているGiant Sparrow。前作『The Unfinished Swan』は芸術性の高さが評価されていたが、今作でもそれは健在である。

魅力的な世界観と物語

物語の舞台となるフィンチ家の屋敷はまず外観の奇抜さが目を引く。屋敷の中は増改築が繰り返されており、家族一人ひとりの部屋が秘密の抜け道で繋がっている。この部屋がそれぞれ住人の性格生き様を感じられる内装となっており、部屋に残された手記、日記から家族の物語の追体験が始まる。

追体験として描かれる一人ひとりの物語もまた魅力的で、ある時は猫に変身して木の上に登ったり、ある時はゲームの中でRPGの主人公になったりする。個人的にはブランコを足こぎして1周するお話が好きだった。

インタラクティブな文字表現

この物語の表現に一役買っているのが双方向的的な文字表現である。通常こういったアドベンチャーゲームの問題点として単にストーリーを追う作業となってしまう点がある。物語進行のためにポイント間を移動するだけの作業になりがちなのだが、今作はお話の内容を画面上に文字として表現することで間延びすることを防いでいる。画像では伝わりづらいのだが上記のシーンではプレイヤーがタンポポを動かすたびに文字が種のように離れていき、文章が徐々に完成するシーンとなっている。

開発元は当然海外なのでローカライズの努力は相当なものだったと思う。しかしその努力の甲斐あって違和感を全く感じさせない見事な出来となっている。

クリア時間も短いのでオススメ

本作のボリュームはクリアまで2時間ほどとなっており、忙しい社会人でも気軽にクリアすることができる。物語も失踪・死亡と聞くとホラーな印象を抱いてしまうが、どちらかというと詩的奇妙な物語小説を読んでいるような内容となっている。というのも開発者が影響を受けた作品が

  • 上田秋成『雨月物語』
  • 小泉八雲『怪談』
  • 安部公房『砂の女』
  • 新藤兼人『藪の中の黒猫』
  • 伊藤潤二『うずまき』

などの日本文学らしい。雰囲気・物語が合う人にはとことん合う作品だと思うので気になった方は是非チェックしてみて欲しい。

ゲーム:フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと
ゲームジャンル アドベンチャー
対応機種 PlayStation 4
PC
発売日 2017年4月25日
開発元 Giant Sparrow
販売元 Annapurna Interactive
ディレクター Ian Dallas
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