3月9日に配信が開始されたスイッチ向けソフト『ゴルフストーリー』をクリアした感想。
どんなゲーム?
『ゴルフストーリー』は海外のインディースタジオ「Slidebar Games」開発のゴルフRPG。主人公の青年はプロゴルファーになる夢を叶える為に様々な課題をゴルフで解決していく。ミッションをクリアする毎に得た経験値・お金で能力を強化したり、装備を買い揃えるRPG要素も盛り込まれた意欲作。ゴルフ自体は2Dの見下ろし型で「マリオゴルフGB」に近い。
ニンテンドースイッチ独占でDL販売中。価格は1,500円。日本語ローカライズ・リリースはフライハイワークスが担当。
魅力
ゴルフ+α
本作最大の魅力は「真面目なゴルフゲームではない」ことだろう。フィールド上どこでもゴルフを始めることが出来たり、ゴルフボールを人に投げつけて反応を楽しんだり、部屋のタンスを漁って小金を稼いだり、「フライングゴルフ」と称したフリスビーで遊んだり、芝刈り機やドローン操作も出来る。途中プレイしていて何のゲームか分からなくなる。
一方で物語は全て「ゴルフ」によって解決・進行する。ゾンビにゴルフボールを当てて倒したり、ワニにゴルフの要領で餌を与えたり、ファイヤーボールを撃って氷を溶かしたり、大魔導師とゴルフバトルを行う。既存の「ゴルフゲーム」の枠から大幅に逸脱した内容と肩の力を抜いて楽しめるゲーム性が大きな魅力だと思う。
ボリューム
インディー開発ということで気になる「ボリューム」だがクリアまでは17時間だった。時間的には「そんなもんか」なのだが数字以上に体験としての密度が濃い。前述の「ゴルフゲーム」らしからぬゲーム性、ハチャメチャなストーリー展開で体感的には40時間級のゲームを1本クリアした感覚に襲われた。後述するストレス要素も要因の一つだと思う。
骨太な作品を求めている人にはお勧めできる一方、ライトにクリアできるゲームを求めている方には向かない。ポップな見た目以上に終盤の難易度は高く、SFC時代の古き良きゲームを思い出した。作中のゴルフゲーム(意味不明)の「ガルフ」なんかはFC世代の想像力も要求される難易度。
ドット絵
本作は『MOTHER』を彷彿とさせるドット絵も大きな魅力。昨今では同じくSwitch向けに発売された『Stardew Valley』も話題となっているが、本作も非常に雰囲気が良い。各ステージは季節感を感じられる印象的な作りとなっており、難易度も相まってスーファミ世代のゲームをプレイしている気分になる。昨今の同じような3Dゲームに飽きてきた方にもお勧めできる。
不満点
そんな『ゴルフストーリー』だが、海外インディー開発らしい詰めの甘さも存在する。
RPG要素
本作のジャンル「ゴルフRPG」から「RPG要素」を期待すると肩透かしを喰らうと思う。確かにプレイヤーは経験値を得てレベルアップし、お金で装備(クラブ)を購入することが出来る。しかし、RPGらしい自由度は本作には存在しない。経験値・お金を稼ぐには「ミッション」をクリアする必要があり、ミッションも物語進行上必要なものが多い。いわゆる「寄り道」が存在せず、現状のステータスではクリアできないから「経験値・お金」を稼いで強化しよう~的な行動が殆ど取れない。
プレイヤーの強化はショットの飛距離、曲がり方、ゲージ範囲、変化、スピンなどが存在するが「パワー」を強化すると他の能力が全て下がる仕様となっている。この「下がる」仕様のせいでプレイヤーの成長を感じづらい。せっかくフィールド上どこからでもティーショットを打てる仕様を用意したのだから、フィールド上にミッションを用意しショットに応じて経験値を付与する等RPGライクな要素を用意して欲しかった。
物語
RPGとして考えた場合に物語も阻害要因となっている。アメリカンなノリには目をつむるとしても「気持ちがいい」「スカッとする」内容とは言えず、主人公が孤独で理解されない状況が長く続く。お世辞にもストーリーが気になって「頑張ろう」というモチベーションに繋がっていない。ベタな勧善懲悪や「前に進んでいる」感をもっと出して欲しかった。主人公の性格的にも物事が淡々と進みすぎてイマイチ盛り上がらない。せめてラストくらいは熱い展開を用意して欲しかった。
ストレス要素
「ゴルフゲーム」自体ストレス要素が多いジャンルだが、本作はむしろ「ゴルフ」部分は良心的なゲームバランスといえる。かなり雑なショットでもピンフラッグに当たってカップに入るし、カップ自体の判定も広い。「みんゴル」よりは遥かに気軽にゴルフ部分を楽しめる。問題はゴルフ以外の要素。
リトライ
難易度が上がってくる終盤で特に気になるのが「リトライ」が用意されていないこと。「○打以内で決めろ!」的なチャレンジで序盤に明らかなミスショットをしても、残りの10打以上を空振りしないと「失敗」とならない。これがチャレンジ内容の難しさと相まって無茶苦茶ストレスが溜まる。ホールのラウンド時も最初からやり直しは不可で一度タイトルに戻り、移動、話しかけるところから再スタートとなる。とにかくテンポが悪く溜め息が出る。
ハンデ
物語上「タッグプレー」をする場面も多いのだが、パートナーは完全な足手まといとなっている。ゲーム的にはハンデと考えれば良いのだが、無意味に下手なミスショットを見せられる時間も何も出来ず歯がゆい。せめて終盤で「マックス・ヤード」「ラーラ」との共闘シーンを用意して欲しかった。
振動
地味に気になるのがJoy-Conの振動。ショットの度に振動、会話の吹き出しでも振動と頻度が高い。また、振動強度も他のSwitchタイトルと比べて強くて気になる。振動機能自体は設定でオフに出来るが強度設定も用意して欲しかった。
感想
価格を考えても全体で見れば素晴らしいタイトルだと思う。ゴルフゲーム経験者にはライトな難易度なので「マリオゴルフ」「みんゴル」等が好きな方にもお勧めできる。他方で普段ゲームをあまりプレイしない、サクッと遊べるライトなゲームを求めている方にはオススメしづらい作品だろう。とはいえ1,500円と安いのでまず買ってみてプレイしてみて欲しい。
ストーリー攻略上、次はどこに行けば?と困ったシーンもあったので後で攻略記事も簡単にまとめてみようと思う。進行で困った際にはコメント欄で質問も寄せて欲しい。
攻略記事をまとめました