Googleが発表した「STADIA」がゲームの未来を担う理由

GoogleはGDC2019にて新たなゲームプラットフォーム「STADIA」を正式発表した。「STADIA」発表によるゲーム業界への影響、未来のゲーム像を考察してみたい。

「STADIA」とは?

Google — GDC 2019 Teaser

「STADIA」はGoogleが新たに発表したゲームストリーミングサービス。ユーザーはPC、スマホ、タブレット、テレビなどハードウェアを選ばず即座にゲームをプレイし、進行状況は常にクラウド保存されるため簡単にハード切り替えも可能。高画質・低遅延でのゲーム体験を楽しめる。

2019年中にアメリカ、カナダ、イギリス、ヨーロッパでサービス開始。

魅力

カンファレンス発表内容から分かった「STADIA」の魅力をお伝えする。発表動画はこちら

敷居が低い

ゲームプラットフォームとして「STADIA」が画期的なのは圧倒的な敷居の低さ。今までの「ゲーム」を遊ぶには最低でも下記の手順が必要だった。

  1. ゲーム機(ゲーミングPC)を購入
  2. ゲームソフトを購入
  3. ゲームをインストール(ダウンロード

それに伴う初期投資も大きい。ゲーム機は2万5000円〜で画質を追求すると倍以上の出費に。ゲームソフトも新品は8,000円前後が定番で手を出しづらい。しかし、「STADIA」は今持っているスマホやPC等デバイスを選ばずに遊べる。初期投資が不要でスマホゲームを指先一つで起動する感覚で遊べてしまう。

場所を選ばない

プレイ状況はGoogleのサーバーでクラウド保存されるためハード・場所を選ばずプレイできる。自宅のTVで大画面で楽しんだ後に外出先でスマホで続きを遊んだり、布団で寝ながら遊ぶことも可能。画質・手軽さの観点から「Nintendo Switch」の携帯機能やPS4の「リモートプレイ」「PS Now」を完全に上回っている。

動画から1クリック起動

発表で披露されたのはYouTubeのゲーム紹介動画に表示された「Play」ボタンをクリックすると僅か5秒でゲームが起動する様子。視聴者は興味を持てば1クリックで即座にゲームを遊ぶことが出来る。気になった持ったゲームでも体験版のDL→インストール→起動までが面倒でついプレイ動画を見てしまう人も多いだろう。「STADIA」は遊ぶのを躊躇する理由が存在しない。

低遅延

「STADIA」は2018年10月にGoogleが試験的に展開した「Project Stream」がベースになっている。同プロジェクトでは海外の人を対象に限定的にテストが行われ実際にプレイした評判も上々。国内ブログで情報が参考になりそうなのはこの辺り。この方の環境では遅延は僅か25msecと2フレーム以下の遅延しか発生していない。

加えて今回発表されたのはGoogleの独自コントローラー「STADIA Controller」も低遅延化に貢献。コントローラー自体がWi-fiでネット接続されるため「コントローラー⇔PC⇔クラウド」の構図とならず「コントローラー⇔クラウド」で直接入力が可能。ほぼ実機プレイと変わらないゲーム体験を味わえる。

ちなみにコントローラー裏にはゲーマーお馴染みのコナミコマンドを確認。

高性能

Project Stream compared to a console

ゲームの画質も申し分ない。4K解像度、HDR、60fpsのゲームプレイをサポートし、現在使用されているGPUの処理能力は驚異の10.7 Tflops。これはPS4 Pro(4.2 Tflops)とXbox One X(6.4 Tflops)を足した値に相当し、マルチGPUで更なる強化も可能。現世代最強のゲーム機がタッグを組んでも敵わない超性能となっている。そしてクラウドベースなので今後は更なる性能強化も自由自在であり、将来的には8K, 120fpsまで拡張されるとのこと。永遠に進化し続けるゲーム機といった印象だ。

チート対策

クラウドゲーミングによって大きな恩恵を受けるのは最近流行りの「オンラインゲーム」。バトルロイヤルゲームの流行とともにチート行為も大きな問題となっているが、クラウドプレイはコントローラーの入力情報しかサーバーに送れないためチート行為自体が困難。不正発覚時もアカウントごと停止しやすい。今までの開発者とチーターの「イタチごっこ」に終止符が打たれるはず。開発者はチート対策のための無駄なコストを開発に回せるようになり、プレイヤーにとっても遅延が無くなる等良いことだらけ。今後、マルチプレイ型ゲームはクラウドベースが基本になると思う。

懸念点

話を聞く限り良い点しか見当たらない「STADIA」だが幾つか懸念点も存在する。

ラグ

一番気になるのは通信速度によるラグ。「Project Stream」の時点では25Mbps以上の回線帯域が推奨されており、国内の整っていない通信環境を考えると少々シビアな印象を受ける。5G通信が開始される2020年までは日本国内でのサービス開始には期待できない。

タイトル

ゲーム開発者たちが集まるGDCで発表されたため、作品はこれからーといった印象だが独占タイトルも用意するらしく期待が高まる。サービス開始時のタイトルラインナップの充実度は初期ユーザーを増やせるかの大きな鍵になるはず。その点で難しいのは特殊過ぎる日本市場の扱い。いわゆる洋ゲーは日本では販売が振るわず人気が低い上に翻訳コストも掛かる。全世界共通でタイトル提供を行えば日本のユーザーが離れてしまいXboxと似た結果になってもおかしくない。日本のメーカーと協力し日本人ユーザーが楽しめるタイトルが用意されるか気になる部分。

価格

今回発表されなかった価格(課金モデル)も不安要素。Amazonプライム、PlayStation Plusのような月額サブスクリプション型になるのか、ソフト単品でのレンタル形式、広告ありのフリーミアムモデル等選択肢は複数考えられる。比較対象は月額500円のPlayStation Plusあるいは月額2,300円のPlayStation Nowだろうか。複数プランを用意したり個別でタイトルを購入できるようにする等、柔軟な料金プランを期待したい。

感想

Googleがゲームプラットフォームとして一つの未来の姿を見せつけてきた。ハードウェアに依存しないからこそ際限なくスペック向上が可能であり、場所を選ばず気軽に楽しめる。「STADIA」によって世界のゲーム人口は間飛躍的に伸びることは疑いようがなく、現在のゲーム市場で一人勝ちし続けているPS4と真っ向勝負できるポテンシャルは秘めていると思う。こうなると気になってくるのはPS5の方向性。SONYも同様に早くにクラウドに注力していたが「ゲーム機」を使用する姿勢そのものは変わっていないように思う。任天堂もまた独自路線の「ハードの強み」を活かしたゲーム体験を提供している。一ゲーマーとしては三者三様の有様で迎える新たなゲーム文化の行きつく先を楽しみにしたい。

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コメント

  1. 匿名 より:

    日本人に浸透するかどうかだなー

    • タコッケー より:

      国内の5G網が整備される来年移行にサービス提供されるかが分かれ目ですかね