ニンテンドースイッチ向けに配信されている『王だぁランド!』体験版をプレイした感想。
どんなゲーム?
『王だぁランド!』はポイソフト開発のNintendo Switch向けDLソフト。ジャンルは王様シミュレーション&勇者アドベンチャーRPGとなっている。本作は元々3DS向けに販売されていたものをグラフィック強化&改良を行ったもの。
価格は888円で体験版も配信されている。
良い点
コスパ
本作は888円という価格からは考えられないほどやり込みが深い内容となっている。体験版では「勇者をつくる」モードしか遊べないのだが、この「勇者をつくる」モードだけで2時間以上はガッツリ楽しめる。一部の機能制限はあるものの、ほぼ製品版と同等の内容で遊べるのは太っ腹という他ない。
本編では「王様で遊ぶ」や「勇者で遊ぶ」「オンラインで遊ぶ」なども選べるため、やり込み次第では数十時間以上楽しめることは間違いない。価格も安いので体験版で「楽しめそう」と感じた人はとりあえず買っても良いだろう。
サクセス×RPG
「勇者をつくる」モードは完全に『実況パワフルプロ野球』シリーズのサクセスモードを意識した内容となっている。毎週「フィールド探索」「ダンジョン探索」「街を探索」などの行動を選択して、EXP&ゴールドを稼ぎ、新しい街へ移動、クエストをクリアしていく。主人公はレベルアップごとにパラメータを割り振ることが可能で、仲間を集めたり各種イベントも発生する。
RPG要素としての「バトル」は「ボスバトル」のみ行動選択式で行われ、普段の「ダンジョン探索」は一定確率で成否が決定する。この仕様がパワプロにおける「練習」とよく似ている。最終的に「勇者登録」されるか否かはそれまでに稼いだ「名声」によって決まり、2年後の「勇者任命」時点で値が足りていれば無事に「勇者登録」の流れとなる。
王だぁランドは、パワプロのサクセス感覚で遊べるRPGという感じかな。んで育てた勇者を集めて観察するベストプレープロ勇者モードもあると。
— えすけーえふVer.P (@SKF_Ver2) April 19, 2014
「行動回数」の制限、「能力(レベル)上げ」、「確率要素」、「選手登録」の流れなどは完全にパワプロのサクセスモードと一致している。厳密には『パワプロクンポケット5』の「忍者編」の下位変換と考えれば良い。サクセスの選手育成が好きな人はハマれると思う。
悪い点
バランス
王だぁランド、やっと一人目の勇者が出来た パワプロのサクセスモード的と言われてるけど、正直かなり劣化させた感じだと思う ステータス上げ(コマンド選択)→試合(アクション)みたいな転換が無いから、ずっとコマンド選択だけだし、仲間とのイベントは自ら起こさないと起きないからかなり空気
— apm30 (@Rift_apm30) December 15, 2013
ゲームの仕組み自体はパワプロなので面白いのだが、内容はかなり劣化している。クリア条件の「名声」は探索だけで簡単に稼げるし、ゲームオーバー時のマイナス要素も「名声」が下がるだけ。ゲームとしては超ヌルい。目をつぶって「ダンジョン探索」を選択しているだけでもクリアできるクソ難易度となっている。
効率的に街を回り、お金・経験値稼ぎする目標を持つと楽しめる部分もあるのだが、それもマンネリ化が激しい。そもそも根本の難易度がヌルい分、そこまで頑張る必要が無いのである。ここが『パワポケ5』との圧倒的な差。
UIやイベント設定、スキル・ステータス調整、仲間仕様など細かい部分でもゲームとしての粗が目立つ。価格帯を考えれば十分なのだが、題材が良いだけに非常に残念。ここは優秀なレベルデザイナーを雇ったり、テストプレイを繰り返す事で今後改善して欲しいところ。
キャラデザ
私は基本的に青年キャラ推しだけど『王だぁランド!』女子キャラ大好きゆーとるやろ!この想い共有したい!宣伝させて!!
婚約者のふりをしたり血を吸われたりするんだ!!(イベント抜粋)全員載せるのもあれかなあって思ってキャラセレクトは個人的趣味です pic.twitter.com/BAISmb56Lk
— テンスキ (@ten_suki) September 29, 2017
本作のキャラクターデザインも好みが分かれる部分だと思う。もう少し一般受けするデザインに落とし込めれば良かったのだが、同人感が溢れている。UI関連もちゃんとしたデザイナーに任せてほしい部分。元が3DS向けなので耐えられていた部分もテレビ画面のサイズで表示されると残念感が増している。制作したポイソフト自体が社員数4名と超小規模なため限界もあるだろうが、今後改善していって欲しい。
感想
30分程度の体験版のイメージだったがガッツリ遊べる内容でよく出来ていて驚いた。育成RPGという題材も非常に良いと思う。それだけに細かい部分のデザイン、バランスが本当に残念。作り込み次第では名作になり得ていた作品だと思う。
価格帯も安く、ソフト不足に悩まされているスイッチではヒットすると思う。今後も隙間を狙って良いゲームを出していって欲しい。