『ABZU』感想:息を呑むほど美しい海を遊泳する究極の癒しゲー

2月7日に配信が開始されたPS4版『ABZÛ』の感想。

どんなゲーム?

ABZÛ – E3 2016 Launch Trailer | PS4

『ABZÛ』は『風ノ旅ビト』のクリエイターが手がけるダイビングアドベンチャー。美しい海を自由に探索しながら魚と戯れたり、数百種類に及ぶ海の生き物たちを好きなだけ眺めることが出来る。ゲームとして、かつて無いほど細かく再現されたダイビング体験と神秘的な物語を味わえる。

日本語に対応したPS4版は2,424円で販売中。PS Plus加入者なら期間限定で10%オフの2,181円で購入可能。PC版はSteamで1,980円。

魅力

美しい海

本作はとにかく美しい。本作は「海」のイメージアートをそのままゲームにしたような景色が広がっており、絵画の中を泳いでいるような神秘的な体験が出来る。ゲーム内に再現された海は下手すると現実よりも魅力的な世界であり、家に居ながらコントローラー一つで極上のダイビング体験を味わえる。

正直本作はゲームとしては殆ど成立していない。いくつかの発見要素や僅かなアクション・謎解きはあるもののリプレイ性は低く、海中での操作が楽しい訳でもない。それでも本作が他に無い輝きを放っている理由は圧倒的な「美しさ」によるものだと思う。同様にゲーム性よりもアーティスティックな魅力を掘り下げた作品には『バウンド:王国の欠片』も挙げられるが、同作は「アート」としての美しさ・感情を描いていた。対する本作はゲーム内で純粋な「海」の美しさ、生命の力強さを描いている。作品の先の「アーティスト」の姿が見えづらいため純粋に「世界」に没頭できることも大きな魅力だろう。

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究極の癒し体験

本作は美しいと同時に最高の癒しゲーでもある。生命に溢れた海に潜り泳いでいるだけで楽しい気分になるし、ヒーリング効果の高い音楽と水の環境音に心が洗われる。瞑想モードでアクアリウムさながら海の生き物を鑑賞するのも良いだろう。

惜しいのはVR対応でないこと。本作ほどVRが向いていそうなゲームも無いので非常に惜しい。『バウンド』のように後日VR対応したり『人喰いの大鷲トリコ』のようなVR Demoの形でも良いので提供して欲しかった。魚群の動きなど負荷を感じる場面も多いので、スペック的な余裕が無いのだろうが本当に残念。

神秘的な物語

本作にはエリアを進む毎に見つかる謎・考察要素も用意されている。いずれも明確な言葉では語られないため、雰囲気で感じる形。考察系のレビュー記事も多く見られる。

正直この謎・考察要素は『風ノ旅ビト』と比べると邪魔になっている印象を受けた。『風ノ旅ビト』や『Flowery』がある種「勢い」で感動させてくるのに対し、本作の人工的な施設・三角錐の物体は「自然の美しさ」と対称にある不必要な要素である。物語の流れとしても『Flowery』のようなカタルシスを感じにくい。

感想

ゲームとしては唯一無二の体験を出来る一方で傑作になり得ない詰めの甘さも感じた作品だった。作品としてのテーマが「海の美しさ」なら物語部分は割り切り『アクアノートの休日』のような探索ゲームにするべきだし、『Flowery』のように伝えたいテーマがあるなら考察部分はより分かりやすくしてプレイヤーの感情コントロールにも力を入れて欲しかった。

とはいえクジラと共に泳いだり海面をジャンプした体験は人生で忘れることのない感動だった。2~3時間のプレイ時間と2,000円前後の価格からは想像できない素敵な体験を出来ることは間違いない。日常に疲れた方や『風ノ旅ビト』のようなゲームを再び遊びたい方は是非プレイしてみて欲しい。

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