7月29日に発売したシリーズ最新作『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』PS4版のネタバレ無し感想。結論を述べるとDQ史上最高傑作の神ゲーだった。
『ドラクエ』らしさ
DQ11最大の魅力は本作が正式な『ドラゴンクエスト』シリーズ最新作であることだと思う。プレイしていて『ドラクエ』を感じる要素が存分に詰め込まれている。そのドラクエ「らしさ」を形作っているのは本シリーズには欠かせない3人。一つ一つの要素についてその魅力を解説していこう。
脚本・ゲームデザイン
脚本とゲームデザインはシリーズお馴染みの堀井雄二氏が務めている。
本作最大の魅力は何と言っても隙が無く完璧な脚本だろう。現世代機作品とは思えないほど濃密で忘れられないお話を楽しむことが出来る。ネタバレの都合上、詳しくは話せないがプレイヤーは必ず予想を裏切られ、考察を人と語り合いたくなる展開が用意されている。個人的にはシリーズで最も魅力的な物語だと思う。
その魅力的な物語はゲームデザインにも大きく影響している。仲間が加われば当然戦闘の難易度も変わるし、乗り物を手に入れれば行動範囲が増え、発生するイベントによって各キャラの強さまで変化する。物語の進行に伴ってプレイヤーが出来ること・世界の広さが増える楽しみはDQシリーズならでは。
この街の連中は面白い(笑)
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街中の人物や仲間との会話など全てのセリフ・設定をテキストに書き起こせば分厚い本数冊になるであろう世界がそこに存在する。そして全てが人の温かみに溢れている。NPC一人ひとりに人生を感じる事ができる作品は今もこれからもドラクエだけだと思う。
とあるイベント、映像的にもキテたんだが、ドラクエはこういうちょっとしたテキストで情を出すのうますぎ。ただのしかばねのようだ的な。 #DQ11 #PS4share pic.twitter.com/QfvGeKjqp3
— norizucca (@ZuccaDeBazooka) August 6, 2017
そもそもドラクエシリーズの魅力の一つは「テキスト」にある。小説で一つの物語を読むようにプレイヤーはゲームを通じて壮大な冒険を体験する。その想像力を促している要素が「テキスト」である。
『ドラクエ11』は現世代機としては珍しい「ボイス無し」の作品であり、そしてそれは間違いなく作品にとってプラスになっている。声優・俳優の演技やキャラクターと声のギャップといった、情報量を削ぎ落としているからこそプレイヤーは純粋に物語に集中することが出来る。『ドラゴンクエストヒーローズ』などをプレイした方はやっぱり『ドラクエ』は声無しが良いと実感できたはず。
キャラクター
登場人物および敵キャラクターのデザインは『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』でも知られる鳥山明氏が務めている。
本作はシリーズ史上最も魅力的なキャラクターが勢揃いしている。パーティメンバーに至っては過去最高であることは間違いない。元絵の魅力も然ることながら上記脚本による各キャラクターの補完は一分の隙もないし、全てのキャラに愛情を感じられる出来となっている。
カミュの踊りほんと好きwwそして主人公ゆるい(笑) #DQ11 #PS4sharehttps://t.co/DorxBmvPcn pic.twitter.com/MzfV1APvJM
— ❅ ゆ き ❅8/13 のぶライ (@Yukichi1_3) August 10, 2017
要素だけで考えても全てのキャラクターが他作品の主人公級の魅力を持っている。各キャラの生い立ち・職業はスキルパネルによってゲーム性にも大きく関わっているほか「さそうおどり」のモーション一つ取っても、それぞれの性格・特徴が感じられる。
寝てるきりかぶばけにじゃれるベビーパンサー#DQ11 #PS4sharehttps://t.co/SB9TP4bdQz pic.twitter.com/7BybGVslNG
— HIRO-Feni猫-トウマ (@hiro_f0217) July 30, 2017
素晴らしいのは仲間だけでは無い。敵モンスターも生き生きとした姿が描かれている。フィールドでじゃれるベビーパンサーを眺めたり、ストーンマン同士がぶつかり稽古しているのを確認できる。独自の生態系がそこに構築されていることが世界に説得力をもたらしており、フィールドを歩いているだけで非常に楽しい。
音楽
BGMは音楽界の巨匠すぎやまこういち氏が務めている。
『ドラクエ』と聞いて真っ先に浮かぶテーマ「序曲」を始めとした名曲が今回も揃っている。戦闘曲は聞き飽きない出来、街中のBGMは日中は軽快な夜は心安らぐ音楽に仕上がっている。『ドラクエ』がターン制RPGであることも相まって最上級のクラシックをゆったり聴きながら遊べるのも非常に良い。
本作はPS4のグラフィックを活用したカットシーンも非常に多い作品となっている。各シーンにマッチした音楽もまた素晴らしい。特に後半のシリーズに馴染み深いBGMを活用した演出は涙腺に来る。
現世代機の『ドラクエ』という魅力
本作はそんな昔ながらの『ドラクエ』の魅力を最高峰のグラフィックで楽しめる点も大きい。なお以前記事で書いた通り『DQ11』はPS4版が至高だと思う。
ボリューム
本作は全ての要素をコンプリートするまでには100時間超掛かるであろう現代のRPGとしては驚異的なボリュームとなっている。どうしても「ボリューム」が増えるに従って「作業感」も感じてしまうものだが、本作は脚本の量とアイデアでそれを見事に回避している。
マップや敵キャラクターの使い回しは目立つものの、それを補って余りある物語の展開に徹夜してプレイすること間違い無しの中毒性となっている。
ロトゼタシアの世界
今回のドラクエの面白い所は、実在のいろんな国モチーフの街が出てくることだと思う!ここは多分台湾のキュウフン…だ #DQ11 #PS4share pic.twitter.com/xS2jrd29TV
— 彩乃 (@ym100ayn) August 12, 2017
本作ではPS4の表現力を活用してそこに「ロトゼタシア」の世界を見事に表現している。先述した敵モンスターの生態系も勿論のこと、空気や水の表現、ステージオブジェクト一つ取っても意味や物語を感じられる。訪れる町の作り込みも素晴らしい。モデルとなった国はあそこだろうなと世界を旅行している気分さえ感じられる。
これは正にPS4だからこそ表現できた世界だと思う。以前参加した『DQ10』のβテストでは物量の少なさが世界の魅力を削いでいた。本作はPS4のスペックを余すこと無く使い切っており確かに世界が存在する。
エフェクト表現
アンリアルエンジンでの開発によるエフェクト表現も見事な出来。炎や水、爆発、光のリッチな映像表現がシリーズ恒例の呪文イメージそのままに派手で魅力的なものに仕上がっている。
バトル時の演出も非常に格好良いので『ドラクエ』で何千回と繰り返す戦闘も毎度楽しむことが出来る。ちなみに戦闘は「オートカメラバトル」がお勧め。
感想
シリーズ30周年、そして原点回帰の言葉に相応しい本当に素晴らしい作品だった。正直PS4版の発表を見た時にはここまでドラクエらしい作品になるとは思っていなかった。ありがちなRPGの派生作品になるのではという危惧を持っていたが心配無用だった。やはり『ドラクエ』は別格である。今はただ素晴らしい冒険をくれた制作陣に感謝しか無い。
本作でより「ドラクエ」シリーズが大好きになったし、現在も過去作のPS4版をプレイしている。敬遠していた8, 9, 10も近々プレイしようと思う。感化されるほどに本作には「ドラクエ」そして「JRPG」の魅力が存分に詰まっている。
去年は『ペルソナ5』今年は『ゼルダの伝説BotW』に『ドラクエ』と名作ゲームが続いており、日本のゲーム業界の復活を強く感じる。来年には『キングダムハーツ3』も登場するしスクエニ・任天堂・SIEが中心となって和ゲーをまた盛り上げて欲しい。