4月20日に発売した新生『ゴッド・オブ・ウォー』をプラチナ取得までクリアした感想。
どんなゲーム?
『ゴッド・オブ・ウォー』は人気アクションゲーム『God of War』シリーズ最新作。前作は伝説のスパルタ兵・クレイトスがギリシャ神話の神々を倒す物語だったが、本作の舞台は北欧神話。息子・アトレウスとの新たな物語が展開されている。
魅力
シリーズ新生
前『God of War』シリーズではギリシャ神話を舞台に神々との戦いを楽しむことが出来たが、本作『ゴッド・オブ・ウォー』は新たに北欧神話が舞台になっている。内容も豪快なアクションと破天荒な物語が主軸だった前シリーズに対し、本作では息子・アトレウスと父と子の絆が丁寧に描かれてる。物語、ゲーム性、グラフィック、演出全てが「新生」と呼ぶに相応しい出来で同シリーズを初めてプレイする人でも間違いなく楽しめる。物語は直接的には繋がっていないがシリーズをクリアしていた方が楽しめることは間違いない。興味がある方は是非1, 2, 3を遊んだ上で本作をプレイして欲しい。
恨み、復讐、暴力表現など作品全体が血にまみれていた以前のシリーズと比べると本作は印象も全く異なる。息子・アトレウスの前で伝説のスパルタ兵・クレイトスは純粋に「父」であり、その目からは優しささえ感じられる。物語の深みも異なっており、大胆な方向転換は大成功と言えるだろう。
圧倒的な世界観
『God of War』シリーズといえば派手なアクションと爽快感が最大のウリだったが、本作は以前のシリーズ作品とはゲーム性も様変わりしている。具体的にはオープンワールドのような探索要素が用意されており、物語途中でサイドクエストを進めたり素材を集めて武器の生産・強化が出来たりする。北欧神話の世界を自由に探索できることも大きな魅力だと思う。
神話を題材にした世界に説得力をもたらしているのが今世紀最高峰と言えるグラフィック、そして全編ノーカットのゲームプレイだろう。本作はいわゆるロード画面が存在せず、ゲーム開始からEDまでを1つのカメラで描ききっている。体力やマップ等のHUD表示も殆ど表示されず、アクションからシームレスにイベントシーンに遷移するため、没入感を損なうこと無く世界に浸ることが出来る。
父と子の物語
新たに登場した息子のアトレウスも非常に魅力的。単なる「守られる存在」ではなく戦闘では弓でクレイトスを援護し、物語進行においても知識面でサポートしている。序盤の世界観の解説役でもあり、クレイトスの行動理由、謎解きのヒントを出したり…と優秀なパートナーでありながら息子でもある。プレイヤーは父としてアトレウスの成長を見守り、隠された真実を知ることになる。
新生『ゴッド・オブ・ウォー』は父と子を描いた物語だったが、今後の『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズの主人公は間違いなく息子・アトレウスになると思う。過去の『God of War』には終焉を意味する「Ω(オメガ)」がタイトルにあしらわれていたのに対し、本作は始まりを意味する「α(アルファ)」の記号となっている。これは息子アトレウス(Atreus)の物語であることも暗喩しているのではないだろうか。後半の物語を主導していたのは息子のアトレウスであり、今後クレイトスが続投するには疑問が残る。今後のシリーズ展開に早くも目が離せない。
勧めづらい理由
間違いなく「神ゲー」な本作だが、正直ゲーマー以外の方には勧めづらい。理由を解説してみる。
序章
本作は飽くまで新生『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズの序章であり、単体で物語が完結しているとは言い難い。海外での高評価も今後のシリーズへの期待を含めた評価となっている。ゲームとしても重めな分、単体完結の作品をライトに遊びたい方にはお勧めできない。また、前シリーズでは有名なギリシャ神話の神との戦いを余すこと無く楽しめたが、本作は演出的に凝ったバトルシーンは少なめ。派手な演出を期待しすぎると肩透かしを食らう。北欧神話で有名な神々との戦いは今後に期待したい。
前シリーズ
物語の繋がりという意味では主人公・クレイトスの背景をより知るために『God of War』シリーズもプレイしておきたい。前作をプレイしているか否かで「とある重要シーン」の感動度が全く異なる。本作を100%フルに楽しむためには最低でも『God of War』3部作をプレイする必要があるだろう。
しかし現在、PS4で遊べるのは3作目のリマスター作品『God of War III Remastered』のみとなる。1, 2が収録されたリマスター作品『ゴッド・オブ・ウォー コレクション』はPS3, PS Vitaで遊ぶしかない。この点も新規参入者には辛いポイントだと言えよう。
難易度
ゲームとしての難易度も海外仕様のため、普段あまり(コンシューマ)ゲームをプレイしない日本人にもお勧めしづらい。昔ながらの洋ゲーの難易度「Normal」は国産ゲームでいう「Hard」にあたる。本作でも同様の難易度設定となっており、難易度自体はいつでも変更可能だが「Easy」に抵抗がある人は苦戦を強いられることになるだろう。アクションゲームとしての難易度は高くコアゲーマー向きの作品なことは間違いない。
感想
いくつかの課題も書いたが筆者的には100%余すこと無く楽しむことが出来た。『God of War』シリーズ自体筆者がゲームに嵌った理由の一つでもあり、PS4でクレイトスに再開できただけでも感動した。視点やゲーム性は変わっていても『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズとしてのDNAは脈絡と受け継がれており、この歳でゲームに興奮できた事実が何より有り難い。
早くも今後のシリーズ展開に目が離せない。プロローグとしては完璧な滑り出しなのでこの勢いを保ったまま完結を目指して欲しい。
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