先日スマホ向けアプリ『みんゴル』について記事をまとめた。改めてPay to Winゲームの問題点について考えてみたい。
Pay to Winとは?
Pay to Win(P2W)は基本プレイ無料(Free to Play)タイトルの中でPvP要素を有しており、課金サービスによって勝敗に影響が出るタイトルを指す。
同じ条件で対戦した場合に課金で能力が強化されたユーザーが勝つ仕様となっている場合にはP2Wだと言える。
判断が難しい点は無課金ユーザーでも時間を掛ければ同じ条件まで強化可能な場合だが、実質的に時間がかかり過ぎる場合はF2Pゲームとは言えないのが筆者の見解である。
問題点
公平性
P2Wの一番の問題点は公平性が担保されないという点である。クラロワで言うと同じカードを使用し、同じプレイヤースキルの場合でもより課金し、カードレベルが高いユーザーが勝つ仕様になっている。
これは無課金ユーザーには理不尽に感じるし、課金ユーザー同士でも相手より強くなるためにより課金するという「札束での殴り合い」が発生する。
勝ち負けに金銭が絡むためeスポーツとして定着しないのも大きな特徴である。
上限が無い
もう一つ恐ろしい点は「強くなる」ためには課金する上限が無いことである。クラロワやみんゴルでは一応レベル・強化上限が設定されているものの、新カード・新ギアの追加でバランスはすぐに変わる。
F2PのデジタルTCGでは必要なカードのみクラフトするだけで事足りるシーンだがP2Wの場合は実質的に課金しないと上位を目指せない調整がされる。
課金しない選択肢が無い
例えばF2PタイトルであるデジタルTCG『ハースストーン』の場合は低魔素で強いデッキを作る形でも上位を目指すことが出来る。より多くの種類のデッキを使いたい=選択肢を増やしたい場合のみ課金が必要となるバランスとなっている。
しかしP2Wの場合は「楽しく」勝つためには課金して下さいという調整になっている。というのもガチでプレイすると僅かな差で負けて「課金してれば勝てた」シーンが出て来る。その時に「課金していないこと」がストレスに変わってくる。そのため「楽しく」遊ぶためには事実上課金が必須となる。
人が課金する心理
それでも人が課金してしまう心理は「金額」と得られる「成果」の比較が根底にある。
1時間かけてカードを収集、強化するのを「100円」課金すれば同じ成果が得られる場合に多くの人は「時給換算」して課金することを選ぶ。あるいは課金によって他者より上に立てる「優越感」を味わえる場合も同様である。
そもそも人は普段お金を使う場合でも必ず比較で考えている。高級志向の商品などは高くても得られる成果が高いため選ばれている。
ゲームとして長く愛されるために
もちろん慈善事業でゲームを作っているわけではないので課金を促す形でのF2Pというのは理解できる。しかし露骨な拝金主義のPvPゲームは流行しても長く愛されはしない。
ゲームをブランドとして末長く多くの人に愛されるものにするためには課金バランスをよく検討することが重要である。クラロワは課金バランスさえ良ければeスポーツとしても盛り上がる名作になり得ていたと思う。非常に惜しい。
企業側に「強制」されるのではなくプレイヤーが作品に「価値」を感じ「能動的」に課金したくなる作品が今後より増えてくれることに期待したい。