PS4『PixelJunk Monsters 2』感想:1の劣化版

PS4, Switchで5月24日に発売を予定している『PixelJunk Monsters 2』の体験版をプレイしてみた感想。

どんなゲーム?

PS4/Nintendo Switch/PC『PixelJunk Monsters 2』promotional trailer

『PixelJunk Monsters 2』は世界累計110万本の売上を記録したタワーディフェンスゲーム『PixelJunk Monsters』の最新作。隊列を組んでやって来るモンスターを様々なタワーを建設・強化して撃退する戦略性の高さと協力プレイの楽しさが魅力。

PS4, Switch版は5月24日発売予定。PC版は5月26日。価格は1,500円。

魅力

タワーディフェンス

『PixelJunk Monsters』シリーズ最大の魅力はタワーディフェンスの楽しさが詰まっていることだろう。次にやってくる敵の種類を確認して有効なタワーを建設・強化し、予想と実証の繰り返す。ウェーブが進むに連れて防衛施設が強化されていくのも楽しい。

本作が一般的なタワーディフェンスゲームと異なる点はタワーを建てたり、敵からドロップしたコイン・ジェムを回収するためにプレイヤー「ティキマン」が移動する必要があること。一見すると煩わしい要素だが、無駄な移動を避けるために「より計画的に」建設が求められ、動かずタワーに滞在するとタワーを強化可能だったりと戦略性を向上させる良いスパイスとなっている。協力プレイ時に互いの連携も生まれて楽しい。

音楽

タワーディフェンスゲームは一度タワーを建てたら後は敵が来るのを待つだけなのでゲームとしては非常に地味な部類。しかし、『PixelJunk Monsters』シリーズはBGMがヒーリング系の音楽でとにかく心地よい。BGMを聴きながらユッタリと楽しめるのも本作の魅力だろう。

協力プレイ

本作がタワーディフェンスゲームとして秀逸なのは協力プレイの楽しさにもある。前述した「移動」があるため、協力プレイ時は綿密な連携・意思疎通が重要となる。前作の『PixelJunk Monsters』はPS3では数が少なかった協力プレイ可能なタイトルであり、価格の安さ的にも貴重だった。ルールもシンプルなのでカップルでも気軽に楽しめる。

課題

前作『PixelJunk Monsters』は個人的に大好きで延々とやり込んだので続編に期待していたのだが、体験版を遊んでみると課題も多く見つかった。一つずつ解説してみる。

3D化不要

本作最大の進化であるはずの「3Dグラフィック化」だが、タワーディフェンスというジャンルにおいては失敗していると言える。プレイ中は見下ろし視点以外でプレイすることはまず無く、遠景がボケるのは単純にプレイしづらい上に目も疲れやすい。見た目の可愛さやグラフィックの向上と引き換えにシンプルで洗練されていたゲーム性が失われてしまっている。

協力プレイのストレス

上記の3D化が悪い方向に働いているのは「協力プレイ」のタイミング。マップ全てが1画面に収まっていた前作に対して本作は「ズームアウト」状態が無く全景が画面に収まらない。しかも、遠景がボケる仕様のためカメラは常にどちらかのプレイヤーを追う形となり、2人でプレイしていると相手にカメラが勝手に動かされるストレスが半端ない。しかも2人プレイ時は背後からの視点に切り替えられないため、純粋に1の劣化仕様となっている。「2」はソロプレイ前提と考えたほうが良いレベル。

価格&DLC

わずか514円で気軽に楽しめた前作に対して、本作の価格は1,500円と約3倍。しかも発売前からDLC 2種が発表されている。勘弁してくれ。シーズンパスと本編を含めたデジタルデラックス版は2,400円とインディーとしては割高な印象を受ける。グラフィックが向上した分、仕方ないとは言えユーザーが求めているのはそこなのだろうか。

感想

「1」の正当進化ではなく「ゲーム」としての面白さを捨てて「グラフィック」方向に舵を切った残念なゲームになってしまった。グラフィック自体は素晴らしく、クレイアニメの様な質感表現も素晴らしい。敵が迫ってくる臨場感も段違いである。しかし、表現のために肝心のゲーム性を落としてはいけない。せめて遠景がボケる表現のオン・オフ設定や全景表示可能で前作同様に楽しめるようにして欲しかった。前作をやり込んだ製作者が作っているとは思えない。

とはいえ、ソロプレイに絞れば十分楽しめる内容なので興味を持った方はまず体験版をプレイしてみて欲しい。

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コメント

  1. faff より:

    PS4で¥500って何年もしたゲームが特別な時期にセールくらいしかなくなんかセコイって感じもするけど少なくとも自分の周りで¥1500で文句言っている人はいない。さらに言えばQ-gamesは有限会社であり大手株式会社と違う状況というのは明らかで、同社のトゥモローチルドレンは商売っ気があまりなく収益の面でかんばしくないのでソニーからなにか言われたのはほぼ確実であり、なので同社の看板商品であるピクセルジャンクシリーズなのに発売元がスパイクチュンである。DLCもその関係でダンガンロンパでスポンサーをつけるという意味とそのダンガン層や別の客層へアピールやら収益面を考えてのことだと思う。自分はトゥモローチルドレンがよかったのでその再開とQ-games応援する為DLC含め買うけど。3Dグラフィックのほうは専門的な話になるので詳しくは「西川善司の試験に出るゲームグラフィックスのトゥモローチルドレン」の記事見てください。要は時代とともに変化しているのであり、同社がトゥモローチルドレンが培った技術や良さや独自の強みを打ち出す方向性である。

    • タコッケー より:

      faff様、コメントありがとうございます。
      日本語って難しいですね。
      ありがとうございました。

  2. little より:

    モンスターズ1の価格が514円と書いてありますけど元々の価格2000円ですので勘違いしないで頂きたい更に一応言っておきますが別の島はDLCなので今作のDLCと値段はほぼ変わりません。
    ps4で出てるモンスターズHDは1がps3で出てpsvitaで出てからのps4で出てなので寧ろ新作で三桁でだすなんであり得ないと思われる。更に言えば前作よりも安くなっているので価格面で文句を言うのはおかしい

    • タコッケー より:

      little様、コメントありがとうございます。
      元々の価格→再確認をお願いします。筆者の購入履歴を確認してみましたところ下記の通りでした。

      利用日時 : 2009/09/03 @ 02:09 PM
      PixelJunk(TM) モンスターズ (PS3(R)用) ¥300

      上記はセール時購入だと思われます。
      配信開始時の価格もWebで確認してみましたが下記の通りです。

      2007年12月6日配信予定
      価格 900円[税込]

      また、DLCについて触れていますが別の島=「アンコール」の価格は600円。追加ステージ数は15に対して今作のDLCは同じ600円で追加数は3に留まっています。
      価格面で高くなっていることは揺るぎない事実です。
      以上、よろしくお願いいたします。