『インクレディブル・ファミリー』感想:「家族」テーマが薄れた理由

8月1日に公開されたディズニー最新作『インクレディブル・ファミリー』(Mr.インクレディブル2)を観てきた感想。

前作感想は下記。

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どんな映画?

『インクレディブル・ファミリー』は2004年にピクサーが製作した人気3DCG映画『Mr.インクレディブル』の14年ぶりの続編。物語は前作直後から始まり、前作では最後しか活躍しなかった赤ん坊「ジャック・ジャック」の能力や新たな「パワー」を持つヒーローも多数登場する。

前作との比較

ピクサー史上最高のエンターテイメント映画だった前作と比べると本作はも目立つ。一つずつ解説してみよう。

テーマ

前作『Mr.インクレディブル』は「家族」と「ヒーロー」がテーマだった。父親であるボブは当初過去の栄光を取り戻すために「ヒーロー活動」を始めるが家族をトラブルに巻き込んだことを反省し、フロゾンと協力して街・家族を救った。ビフォー・アフターで考えれば

  • ボブ → 家族思いの父親に
  • ヘレン → ヒーローとしてのボブを受け入れ
  • ヴァイオレット → コンプレックス解消
  • ダッシュ → 念願のスポーツ競技

など家族全員の問題が解決したスッキリする内容。しかし、本作では冒頭からヒーロー活動は「ミス」だったと発言し、社会におけるヒーローの信用も振り出しに戻っている。前作ラストでの「ヒーロー」「パワー」の受け入れが格好良かった分、家族が再分裂して揉める流れは何とももどかしい。

「家族」に関して言えば本作はぶっちゃけ家族である必然性が存在しない。助ける流れはヒーロー同士のコミュニティでも成り立つし、「家族」を象徴するようなシーンも見当たらない。キャラ・設定を活かしたまま描きたいシーンに当てはめた構成だと言える。唯一当てはまる「ジャック・ジャック」の子育てシーンも子育ての苦労よりパワー解説の意味合いが強い。子育てを頑張ってきた「ヘレン」に対するフィードバックが欲しかった。

ヴィラン

では本作で描きたかった「テーマ」は何だったのだろうか。本作を象徴するのはテレビ画面をジャックし視聴者をコントロールするヴィラン「スクリーンレイヴァー」だろう。これはフェイクニュースや印象操作によって惑わされる人々を題材にした社会風刺も含んでいる。しかし、このヴィラン設定も『インクレディブル』の色とマッチしていない。情報操作とマインドコントロールによって「インクレディブル一家」は終盤まで敵の掌の上で転がされ続ける。主導権が一向にこちらに移らず防戦一方だったり、ヴィラン側は動機・目的の薄さも相まってキャラ魅力に欠けている。キャラ魅力という観点でポータル能力を持つ「ヴォイド」を始めとするスーパーヒーローたちも掘り下げが甘い。主要人物との掛け合いと能力的に尖っていたのは「ヴォイド」だけで他は敵役の一人に留まっている。また、最終的に社会風刺内容に対する明確な「回答」を提示していないのも残念な点。

アクション

「スクリーンレイヴァー」との決戦自体はあっさり終わってしまうため、本作のメインアクションは「乗り物を止める」ことだが、アクションシーンは前作と比較してもずば抜けて凄い。3DCG映画としては史上最高クラスだと思う。初っ端からフルスロットルで飛ばし続けて目が離せず、本作の事実上の主役である「イラスティガール」のアクションも格好良すぎて演出だけで感動して涙が出る。本作は純粋に「アクションシーン」を楽しむエンタメ映画と割り切ってしまえば最高に楽しい。本作で描きたかったメインは「イラスティガール」の活躍でありまた、様々な「ヒーローパワー」の応酬だったのだと思う。映像は間違いなく最高なので是非とも映画館の大画面で観ていただきたい。

感想

前作では「異質分子は社会で苦労する」という監督の実体験が中心テーマとなっていた。本作においても芯となるテーマが存在し、明確な回答があればより評価は高くなったと思う。脚本では前作に軍配が上がる。とはいえここ数年のディズニー映画では最高の出来栄えであり、誰もが楽しめる名作なことは間違いない。上映中は子供が身を乗り出して真剣に観ていて上映後に「ダッシュ」の真似をして走り回っているのは微笑ましかった。前作同様男の子には最高の作品だろう。気になる方は上映中に映画館で観ることをオススメしたい。

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