Google Playにアプリを出す際に「性的なものを暗示する画像や動画」として画像を捉えられたためメタデータ違反としてGoogle Playから削除された。Apple側でも度々話題になる露出規制の基準として参考になると思う。本記事ではあわせて「なりすまし」違反として通知を受けた体験談も載せておく。
経緯
なりすまし違反
筆者が個人開発したアプリ『タップ ファンタジー』は元々『タップ ドラゴンズ』として開発を進めていた。Google Playには既に『タップ ドラゴン(Tap Dragon)』と『Taps Dragons』というアプリが存在した。しかし両者が似ているのにスルーされているのでその間となる『Tap Dragons』も問題無いと判断しタイトルロゴまで作成したのだが、審査提出直前のタイミングで「なりすまし」違反の通知メールが届く。
なりすましに関する違反例の「別のアプリのタイトルを、ユーザーを誤解させるような方法で使用」に該当したのだと思われる。その前に散々βテストを繰り返し、アプリ名も事前に入力していたためリリース直前での違反通告は非常に響いた。審査が緩いことは以前のアプリを作った際に分かっていたので甘く見ていた。
メタデータ違反
『タップ ファンタジー』では画像アセットとして「2D Fantasy Art Assets」を利用している。このアセットは非常にクオリティの高いモンスター、キャラクター画像が大量に含まれており、RPGのジャンルにピッタリな内容となっている。
しかしこのアセットの長所であり短所なのが「女性キャラの露出度」である。日本人好みのテイストの女性キャラクターも多いが、いずれも露出度が高く、一部キャラクターはほぼ全裸の画像が用意されている。そのため利用には画像の修正が必須となる。
胸の谷間部分に修正を加えた上で上記画像で提出したところ「メタデータに関するポリシー違反」としてアプリが削除された。メタデータ違反に関する説明はこちら。
対処法
「なりすまし」の件はタイトルロゴやアプリ内のテキストを変える形で対応。問題はメタデータ違反(露出度修正)の方である。改めて不適切な画像の例の説明を確認すると記述は下記の通り。
- 性的なものを暗示する画像や動画。胸部、でん部、性器、フェティシズムの対象となるその他の身体部位を含む、性的なものを暗示する画像の掲載は写実性を問わずおやめください。
胸部の掲載が問題なことは何となく分かるが「フェティシズムの対象」とまで記載されている。正直そこまで来ると個人の趣味の範疇にも入るため対応が非常に困難となる。
なお今回の指摘は飽くまでストア掲載画像に対する指摘なので、ゲーム内の画像は限度を守り、正しい年齢制限を行っていれば問題はない。
参考(シノアリスの修正例)
シノアリス、林檎にダメ出しくらってリリース遅延してると噂だけど、修正版着込んだだけじゃなくおっぱいそのものが減ってるじゃないですか!!!!! pic.twitter.com/12ymStRwce
— おもち (@o_h_a_g_ip) June 6, 2017
画像の露出修正を行う上で最も参考になったのは「シノアリス」の修正例である。上記画像を見比べれば分かる通りストア掲載画像(→)は殆どの性的要素を排除した内容となっている。恐らく繰り返しのリジェクト修正対応を避けるために、考え得る「フェティシズムの対象」全てを削ったのだと思われる。デザイナーの涙ぐましい努力が見られる。「シノアリス」のケースは「ビフォーアフター」が分かりやすく、時期も近かったため非常に参考になった。
修正内容
今回は同様にフェティシズムの対象となりうる部分を全てを修正した上で審査提出する形で対応を行った。上記のスライド画像は修正の過程が分かるものとなっている。恐らく中間バージョンでも審査は通ったかもしれないが、再修正依頼の方が面倒なので万全を期す形にしてから提出を行った。リジェクト時に具体的な指摘が無い分、この方が対応工数は抑えられると思われる。
結果
修正後の画像で再提出した結果、翌日無事にGoogle Playで配信される流れとなった。同じ画像をiTunes Connect側でも使用したがリジェクトも無かった。
規制基準について
Appleの露出に対する規制は非常に有名である。水着やタイツ、肌の露出、ほのめかす内容全てが禁止されておりリジェクトの対象となる。しかしストアでアプリの画像を確認すると露出多めのアイドル衣装が許容されていたり基準は非常に曖昧となっている。
今回のケースでは明らかな「肌の露出」があったためiTunes Connect側でもリジェクトの対象となっていたと思われる。しかし、具体的な例を示していないApple側にも非があることは間違いない。細かな基準を示さないにしても参考情報としてOK・NGの画像例くらいは出して欲しい。開発者としては規制そのものよりも曖昧な基準への「配慮」の方が厄介である。
今後もゲームの露出やギャンブル性に対する規制は強化される流れだと思う。今回のケースを参考にリジェクトにならないように頑張って欲しい。