【炎上】JASRACが映画音楽使用料を引き上げる理由と問題点

JASRACは11月8日、映画音楽上映時の使用料の見直しを行っていることを発表した。今回の見直しの理由と問題点をまとめてみる。

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概要

JASRACの公式に詳細な説明が載っているが概要をまとめると下記の通り。

  • 外国映画の上映使用料を「定額(18万円)」から「興行収入の1~2%」に引き上げ
  • 支払い対象を配給会社から上映した映画館に変更

使用料の引き上げは今までは18万円しか対価還元が行われていない実状を変えて、音楽創作者に対して相応しい対価還元が行われることを目的としている。

また、支払い対象が現在の配給会社から変更する目的としては「上映」の権利を使用する映画館が支払う「原則に沿った形」で運用する意向が示されている。

SNSの反応

今回の件に関するSNSの反応は下記の通り。

引き上げの理由

安すぎる

「使用料引き上げ」という事実に対して感情的になっている人も多いが元々の使用料「18万円」は明らかに安過ぎる。報道陣向け説明会資料での説明にもあった資料で考えれば

  • 1997年『タイタニック』262億円
  • 2010年『アバター』156億円
  • 2014年『アナと雪の女王』255億円

いずれの大ヒット映画も支払われる使用料額は18万円だけとなっている。公表されている2014年の興行収入全体に対する使用料額割合で考えても0.08%にすぎないレベル。欧州の各権利団体の規定利率(1~2.1%)に比べても極めて低い。

配給形態の変化

そもそもなぜ「18万円」だったのかという点だが質疑応答では下記の通り回答している。

現状においては18万円ですが、最初は4万円あるいは5万円という金額で、その後何度か話し合いをしていまの金額になっているということです。

そもそも上映権が制定されたのは1964年である。その頃日本の配給会社はほぼ寡占状態にあり、配給会社との「話し合い」で定額に決まり、その後調が重ねられていたのだと予想できる。

しかし現在は中小の配給会社が乱立し、使用料の負担を配給会社が担うのがおかしいと考える配給会社も出ている。そのため配給会社からのみ使用料を徴収するのが難しくなってきた実状もあるのだろう。

外国権利団体からの圧力

JASRACの今回の報道向け発表で気になったのは下記の発言。

「10年以上前から、欧州や米国の著作権管理団体から、徴収額を上げるように強く言われている」

「JASRAC」が加盟する権利者団体の世界組織「CISAC」からの圧力も背景にあったことが予想される。そのため設定された興行収入に対する割合も世界基準のルールに照らしわせた形となっている。

問題点

映画館負担

今回の件で最も被害を被るのは街にある小さなミニシアターだろう。ギリギリの経営をしている中で上映使用料を払うようになれば経営が立ち行かなくなるケースも多いと思う。

1~2%が妥当か?

前述の問題を考える上でもパーセンテージについては妥当化再考する必要がある。現状の「1~2%」は海外基準に照らしわせただけであり、海外と映画事情が大きく異る日本でも同様の設定が有効かは検証の余地がある。

総括

総じて考えると今回のJASRACの主張は公正であると考えられる。パーセンテージ制自体は合理的であり、むしろ旧来の価格設定が現代の映画興収の実状に沿っていない形だった。利用料の支払対象も本来の権利行使者に移るだけの話である。そもそも上映に関する使用料自体が不要というのは別の議論であり、今回の焦点ではない。

今回の騒動は誤解を招くような煽り記事と日本人のJASRACに対する不満が爆発しているのが実状だろう。正しい情報を発信しようとしないブログ発信者にも問題があるし、音楽教室の騒動間もないタイミングで今回の発表に踏み切るJASRACの対応も悪手と言える。

今回の発表も「諸外国からの圧力」をいきなり訴えずに「国内映画産業の実状」を踏まえた上での発表を行うべきだった。いきなり「1~2%」という数字を提示したのも政治的には失敗だろう。単に「海外基準に段階的に合わせる」程度に濁すべきである。

対応として大事なのはJASRACに対する不信感、不満をまず拭うことである。作曲家・作詞家への還元割合などの詳細を発表し、正しい運営を行っていることをまず提示して貰いたい。

参考サイト:

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