未だに炎上が収まらない『けものフレンズ』のたつき監督降板騒動。本日、公式からも経緯説明が発表され「火に油を注ぐ」形で炎上が続いている。
公式の発表内容
たつき監督の降板について「「けものフレンズ」映像化プロジェクトに関するご報告」という公式リリースが公開された。
しばらく接続できない状況が続いていたが現在は復旧しているので、詳しいリリース内容はリンク先で確認して欲しい。
要約すると公式としては以下の主張となる。
- 同体制か新体制か検討中で何も決定していない
- 角川としては同体制にしようと動いていた
- 辞退したのはヤオヨロズ側(8月)
- 「けもフレ」は誰のものでもない
- ヤオヨロズは無断で作品利用している
- 直すように伝えたが条件を受け入れられないので辞退したいと言われた
けもフレ公式からのリリース内容ですが、ざっくり要約すると
「2期の体制については白紙」
「ヤオヨロズ側が無断で作品利用繰り返してた」
「今後はちゃんと連絡するように交渉してたけど折り合いつかずにヤオヨロズから辞退を申し出た」
とのことですね。— 水瀬はるかな閣下 (@halcana) September 26, 2017
疑問点
このリリースを読んでのまず気になるのは「たつき監督」の主張と「角川」の主張の矛盾だろう。
噛み合わない主張
突然ですが、けものフレンズのアニメから外れる事になりました。ざっくりカドカワさん方面よりのお達しみたいです。すみません、僕もとても残念です
— たつき/irodori (@irodori7) September 25, 2017
たつき監督の主張によると『カドカワさん方面よりのお達し』としている。しかし角川は『ヤオヨロズ側の辞退』と主張している。あからさまに理不尽な条件が突きつけられたのではと勘ぐってしまう。
ヤオヨロズの暴走?
けものフレンズのたつき監督降板の件は、カドカワ側が「ヤオヨロズ、お前ら何勝手に作ってんだゴラァ!」とキレたことが原因だったわけだけど、最後の打ち合わせで「終わった後も自由に作っていいですよ」と吉崎観音が公式に許可を出してる。勝手にやらせておけば成功間違いなしなのに。カドカワの失敗 pic.twitter.com/pgnsyisf4I
— zapa (@zapa) September 26, 2017
公式による報告では「無断での作品利用」を問題として挙げている。この問題を挙げる以上、具体的な内容が必要となる。
ちなみに吉崎観音先生は利用について許可しており、「誰のものでもない」と言っているカドカワ自身の主張とも矛盾している。
条件とは?
発表がフワッとしてて分からない。一番大事な無断使用、情報共有正常化の申し入れ、ヤオヨロズの辞退の部分がどういう内容になってるのかが知りたいんだよ。ヤオヨロズがそう簡単にけものフレンズから降りるとは考えられないし、たつき監督のツイートとも若干食い違うしね。#けものフレンズ
— HIR0 (@HIR00000000000) September 26, 2017
角川が提示した条件も気になる。「正常化」という言葉が指しているのは単なる「無断利用やめてねー」程度の話ではないと思われる。この点は想像にしかならないが、角川の過去の悪行を見ていると明らかに「私物化」を問題視しており、「金」を生む形への方向転換を迫ったと捉えるのが自然である。
問題点
この報告内容を信じる限り角川の対応は間違っていない。しかし最大の問題点は「ファンの気持ち」である。会社として正しかろうがファンの「気持ち」に配慮できなかった今回の報告は大失敗だと思う。
謝罪なし
けもフレ(というかカドカワ)側の掲載文、騒がせたことへの謝罪はもちろん状況説明すら満足に果たさない「悪いのはヤオヨロズです」って主張でしかないな。わしがカドカワ社管理者ならこんな直江状みたいなの掲載するって稟議書に決裁出した奴大幅減給の上左遷させるわ。
— 丸長 (@cyousanboshi) September 26, 2017
ほとんどの炎上事件は公式の対応ミスにより炎上が加速・拡大しており、今回も明らかに「火に油を注ぐ」形での対応となっている。具体的には報告に今回の騒動に対する「謝罪」は一言も含まれていない。そのため「悪いのは自分たちじゃない」「ヤオヨロズが問題」と責任をなすりつけている印象を受けてしまう。
例え事実「ヤオヨロズが問題」だったとしても、まずは「騒動に対する謝罪」をしてから状況説明に入るほうが良かった。
カドカワの信用
何がすごいって
公式から出た文面ではどう見てもヤオヨロズが悪いように書かれていてKADOKAWAは何も変なことしてませんみたいな感じなのに、誰一人としてそのまま受け止めようとせずに何か裏を勘ぐっている辺りにKADOKAWAの信用のなさがよくわかる。日頃の行いやな……— 黒いファラオ(物書き見習い) (@kuroifarao) September 26, 2017
ヤオヨロズも信用に足る会社では無いのだが、それ以上に今回はカドカワの信用の無さが露呈している。これは過去の「焼畑農業」的にコンテンツを消費してきたツケが回ってきた状況とも言える。
育ての親
いやあのね?
けものフレンズは確かに吉崎先生が生みの親だよ
けどたつき監督はそこにもう1つの種を育てたんだよ大好きだからこそ自腹切って続編まで作ってたんやぞ
ざっくばらんにいうとこんな監督他におるか?
— ラッキービースト(秋) (@asdisFS) September 25, 2017
「けものフレンズ」というIPはKADOKAWAが所有している。そのため「けもフレ」の私物化を問題視する企業としての姿勢には何も問題がない。
しかし、ファンにとっての『けものフレンズ』の育ての親は明らかに「たつき監督」である。事実上死に体だったIPを蘇らせ、再生したのは「たつき監督」の監督、脚本、演出による賜物である。このファンにとっての『けもフレ』の概念を無視し、権利を行使したのだからKADOKAWAは政治的にファン達に叩かれても仕方がない。
権利行使に踏み切るには説明が不十分過ぎるし、今回のリリースは情報が足りなすぎる。もっと想像力を働かせ、政治的な手回しを進めた上で発表に踏み切るべきだった。
傷ついてしまったIP
けもフレに傷をつけたという意味では大成功だよ。たとえこの後たつき監督に戻ってもけもフレは二度も共には戻らない。って言うかKADOKAWAがああいう言い分を通すならむしろ戻らなくていいとも言える
— いにめら (@inimera_) September 26, 2017
未だ着地点が見えない「けもフレ騒動」だが、例え2期をたつき監督がやることになっても一度傷ついた事実は覆せない。『けものフレンズ』の印象が今回の騒動で大きくダウンしたことはブランドにとっての大損害である。
もはや平和な解決は望めそうに無いが、今は只行く末を見守ろうと思う。