『この世界の片隅に』が『君の名は。』を抑えキネ旬邦画1位に選ばれた理由

2016年のアニメ映画は非常に豊作だった。

ディズニーの『ズートピア』、京アニの『聲の形』、スタジオジブリの『レッドタートル』、そして社会現象となった新海誠の『君の名は。』などヒット作が数多く生まれた。

君の名は。』の大ヒットでアニメ映画に興味を持つ人口も増えていると思う。そんな皆さんに是非オススメしたい映画が片渕須直監督の『この世界の片隅に』である。

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キネマ旬報ベスト・テンで日本映画の1位に輝いた

本作はこうの史代による漫画が原作であり、有志クラウドファンディングによって制作費が集められた作品となっている。

公開後は観客数が日増しに伸びる異例のヒットとなり2017年現在も拡大上映が続いている。そして本日発表された「キネマ旬報ベストテン」では『シン・ゴジラ』を抑え日本映画のに選ばれた。アニメ映画が1位に選ばれるのは1988年の『となりのトトロ』以来の快挙となる。

キネマ旬報の選考方式

キネマ旬報ベスト・テン」は1924年に第一回が行われた権威ある映画賞である。その選考は選考委員会による採点方式で行われている。選考委員各々が持ち点を1位に10点, 2位に9点…という具合に配分する形である。

選考委員は「幅広い年齢層・肩書の映画をよく見る人物」から構成され肝心の選考基準は「興行成績に左右されない、アカデミックな基準」となっている。

単なる戦争映画ではない『この世界の片隅に』

この世界の片隅に』の「あらすじ」や「予告」を見ると「戦争映画」のイメージを持ってしまうと思う。しかし本作は単なる「戦争映画」ではない。

本作では主人公の すず の目線を通して戦前から戦後までの生活が事細かに描かれている。「戦争映画」ではひたすら戦争の「悲惨さ」ばかりフォーカスされ、その時代に生きていた人々の暮らしは疎かにされがちである。

しかし本作で描かれているものは、その時代に生きていた人々の「日常」である。戦前も戦争中も戦後も人々の暮らしがあった。そんな当たり前のことに気づき「日常」の素晴らしさを再認識できる作品となっている。

『君の名は。』は大衆向け娯楽作品である

シネフィル(映画通)には不評かもしれない。でも、そういった層に背を向けられても、新しさや過剰さ、疾走感を「良い」と思ってくれる大きな層を狙いたかった。

上記は産経新聞のインタビュー新海誠監督が『君の名は。』について語った内容である。そもそも深海自身『君の名は。』を大衆向け作品として割り切っており、映画通からの評価を期待していない

また、アカデミックな目線から見ても『君の名は。』は娯楽作品の域を出ない。批評家の岡田斗司夫からも ”バカでも分かる映画” と切り捨てられている。

対して『この世界の片隅に』は今後小学校の授業内でも上映されるであろう ”後世に残る作品” であり文化的価値を持っている。「アカデミックな基準」からどちらが選ばれるかは明白である。

作品を観て「考える」ことが大事

最近の『君の名は。』の盛り上がりは正直言って異常である。この流れだとキネマ旬報の読者選出部門では間違いなく『君の名は。』が邦画部門1位になると思う。

擁護派の中にはアレルギー反応のように『君の名は。』を批判する人を叩いている風潮もあり心配になる。自分が好きな作品の批判に対抗するには「多くの作品を観て考えている」ことが重要である。

一作品を何度も観ているだけでは「こっちの方が面白い」に対抗できず「自分は好き」の殻に閉じこもる形になってしまう。

作品を本当に「愛している」のであれば、多くの作品を観てその作品が持つ価値考えてみてほしい。

映画:この世界の片隅に
監督 片渕須直
原作 こうの史代
公開日 2016年11月12日
音楽 セガコトリンゴ
制作会社 MAPPA

映画:君の名は。
監督 新海誠
公開日 2016年8月26日
音楽 RADWIMPS
制作会社 コミックス・ウェーブ・フィルム
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