【PSVR】「ゴースト刑事 日照荘殺人事件」感想:VRではない

3月6日から配信が開始された日テレ製作のVRドラマ「ゴースト刑事 日照(にってれ)荘殺人事件」をクリアした感想。

スポンサーリンク

どんな動画?

「ゴースト刑事 日照荘殺人事件」は日テレ製作のパラレルVRドラマ。プレイヤーは「ゴースト刑事」となり、アパートの部屋から部屋に自由に移動しながら殺人事件の真相を解明する。

企画は『電波少年』シリーズの土屋敏男とアーティストの齋藤精一。脚本は鴻上尚史が担当。価格は無料でPS VRで視聴可能。

特徴

企画

問題点は後述するが本作は企画自体はとても面白い。日テレ得意の「サスペンス」をVR映像化し、アパートを舞台にプレイヤーは幽霊さながら自由に部屋を覗きまわることが出来る。このイメージをそのままVR作品にできていれば本作の評価は変わっていたと思う。しかし、本作は価値あるアイデアを作品として成立させるための予算・技術力が足りていない。

ゲームオーバー時のBGMは全国の個人アプリ開発者御用達の「Game Music Pack – SUITE」(10ドル)を使っており、カメラも市販されているであろう標準的な360°カメラ。音声もバイノーラル録音されておらず指向性を全く感じない。間違いなくDMMで市販されているアダルトVR動画の方が潤沢な資産と高い技術力で作られている。

VRなのか?

前回『傷物語VR』について記事をまとめたので、VRと単なる360度動画の違いについてハッキリさせようと思う。 VRとは? ...

以前、記事としてVRと360度動画の違いについてまとめたが、本作は360度動画に分類される。「空間性」について立体視に対応しておらず、奥行きが全く感じられない。「相互作用性」は及第点レベルで一応視点の方向に「移動」することが出来る。しかし、この「移動」も単なるカメラ映像の切り替え操作に過ぎず自身が実在する感覚には程遠い。大問題なのは「自己投射性」である。プレイすると分かるが明らかに目線の位置がおかしい。まっすぐ見つめた先は刑事の胸元、かと思えばゲームオーバー時には見上げられる位置になったり演出の都合上カメラが勝手にワープする。こんな仕様でどうやって「そこに存在する」と感じられるのか。YouTubeの適当な360度動画の方がマシなレベル。

ゲームとして

ゲームとしても誘導が甘い。クリア条件は「被害者の押入れ→天井裏→明かりがついているトイレ」(選択反転)っぽいが分からず3回プレイした。せっかく「サスペンス」という題材なのだから移動して証拠を探し回ったり、証言を集める、巻き戻して会話の矛盾点を探す等が出来れば「ゲーム」として楽しめたのに非常に残念。操作性もお世辞にも良いとは言えない。見つめている位置のマーク表示は必須であちこち観るので終わる頃には首が痛くなる。素直にコントローラー操作させて欲しい。

しかし、サスペンス・脱出ジャンルのVR化の可能性は感じられた。『逆転裁判VR』や『極限脱出VR』なども相性は良いと思う。3D化された空間をワープ方式で移動できる形で遊んでみたい。

感想

企画時は凄い盛り上がったんだろうなーと推察できる内容だった。残念ながらVR作品としてのクオリティが低過ぎる。360°カメラで撮るだけではVR作品として成立しないことを心得て欲しい。

無料なので「まあ、こんなもんか」で済むが同じ無料でも『傷物語VR』『ダンガンロンパVR』『VR音楽祭』の方が100倍は素晴らしいVR体験を出来る。日テレがどの程度VRに本気なのかは窺えないが、やるからにはアイデアだけでなく技術的にも力を入れて本気で挑んで欲しい。現状はYouTubeの360°動画にすら見劣りする。

テレビ業界のVRへの参入にも今後期待したいが、是非潤沢な予算でクオリティの高い作品を生み出して欲しい。企画はテレビ関係の業界人だけでなく、ゲームに関する有識者の意見を取り入れることも重要となるだろう。今後に期待したい。

スポンサーリンク
レクダングル(大)
レクダングル(大)

シェアする

フォローする



スポンサーリンク
レクダングル(大)

コメント

  1. 匿名 より:

    無料のコンテンツにそんなにお金かけられないでしょ

    • タコッケー タコッケー より:

      コメントありがとうございます。
      資金面の問題ではなく制作意欲・VRに対する理解の無さが課題だと考えています。
      本作はVRである必要性が無く、ゲームとしても全く成立していません。
      VRについての先行研究・マーケティング調査を含めた作品ですが、だからこそクオリティが重要となります。
      中途半端な作品を世に出したところでVRの可能性について正しい判断は行えません。
      また、無料コンテンツでもクオリティが非常に高い作品は多数存在します。
      本作はテレビ制作会社が興味本位で作ってしまった姿勢そのものが問題だと言えるでしょう。
      ありがとうございました。