ドラマ版『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』感想

Netflixで観た岩井俊二監督『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』感想。

どんなドラマ?

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は1993年にフジテレビで放送された岩井俊二によるテレビドラマ作品。2017年にシャフトによってアニメ映画化され、DAOKO×米津玄師による主題歌「打上花火」も大きな話題となった。

魅力

青春

本作は「青春」をそのまま映像に詰め込んだかのような輝きにあふれている。当時は子役だった山崎裕太が主演を務め、なずな役の奥菜恵、裕介役の反田孝幸などの子供らしい見た目、掛け合いから感じられる青春感が堪らない。映像を観るだけで輝いていた子供時代の「夏」を思い出し、何とも愛おしい気持ちになる。「なずな」との淡い恋、現実との葛藤に悩む思春期の感覚、小学生の時の友達・恋人との距離感が懐かしい。映像だけで青春や郷愁を感じられる。子供同士で灯台に向かって歩く場面は日本版「スタンド・バイ・ミー」といって過言ではない。

奥菜恵

本作の肝となるのは「if」要素や花火ではなく「なずな」役の奥菜恵の魅力に尽きる。特にラストのプールシーンは一度観たら忘れられない名シーン。男子よりも遥かに大人びた女子、家出、駆け落ちといった要素と当時わずか14歳だった奥菜恵の魅力が見事に絡みあっている。2018年の今なお色褪せず輝いていることには驚く。

挿入歌

本作は各シーンで流れる挿入歌もまた素晴らしい。楽曲はREMEDIOSによって書き下ろされており、特に主題歌の「Forever Friends」はクライマックスで使用されている名曲。作品が持つ雰囲気と歌詞・音楽が見事にマッチしている。

感想

シャフトによるアニメ映画は控えめに言ってクソだったが、原作ドラマは噂に違わぬ素晴らしい作品だった。原作が持つ情緒の1割すらアニメでは表現できていない。原作の構成要素として奥菜恵が大部分を占めていることからもアニメ化は企画時点で失敗だったと思う。「君の名は。」に続くためのチョイスとして狙いはよく分かるが非常に残念。ちなみに露店で酒を飲んでいる蛭子さんが若くて笑った。顔が全く変わっていない。

ドラマ作品としては間違いなく邦画史に残る名作なので興味を持った方は是非観て欲しい。

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