日本経済新聞の「フェイスブック・ショックの深度」記事が話題となっているので問題点をまとめてみる。
概要
フェイスブック・ショックの深度 https://t.co/2sc8h0K57o
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) 2018年3月19日
イギリスの政策コンサルティング会社「Campbridge Analytica」はFacebookから得た個人情報を自社が提供する政策アドバイスに活用していた。その影響はフェイスブック利用者5000万人にも上り、フェイスブックやビッグデータ活用をするIT起業の株価が暴落。ビッグデータ活用に対する懸念が広まっている。
規則とは?
先日の年金情報委託問題と重なり個人情報「流出」と勘違いしている方も多いが、今回のケースは社員による情報漏えいやハッキングではなく、通常のサービス利用で得られるデータを規則を超えて利用したことが問題となっている。該当する規則は情報を調べる限り2015年に改訂された「データに関するポリシー」、データ取得に関して曖昧だった部分の詳細な実施宣言が行われた。データポリシー改訂に合わせて利用者の情報を取得するAPIの改訂も行われ、2015年には友達データの取得が制限されている。
個人情報とは?
最近TLにスパムツイート多いんで情報
〇〇診断!とかありそれを行おうとするとこのような画面になりますが連携アプリ認証をタッチする前に「このアプリケーションは次のことができます。」の項目をよく確認しましょう。
もし連携してしまったら設定画面から
アプリ連携を解除しましょう。 pic.twitter.com/QpwQFwvLVU— なのん(貧脚) (@araburuVITA) 2018年3月5日
個人情報自体の入手経路はユーザーの性格を予想する「thisisyourdigitallife」というアプリ。Twitterで言うところの「○○診断」のような連携アプリをイメージしてもらえば良い。ケンブリッジ社はアプリを通じて利用者の下記の情報を収集した。
- 地域
- 友達
- 「いいね!」したコンテンツ
これらの情報は通常のFacebook利用で利用者が提供している情報であり、Twitterの位置情報利用、フォロー、RT・いいね等と変わらない。Facebook特有の個人名や学校、職場情報が悪用されたわけではない。
政治的影響
改定前の基準では明確に「ポリシー違反」とは言い難い。にも関わらず事態がここまで大きくなっている要因は入手したデータの利用方法にある。ケンブリッジ社は2016年の米大統領選挙でトランプ陣営側に付き、SNSを用いてトランプ側に有利なニュースを流布するアドバイスを行ったとされている。
選挙結果自体が僅差だったため、Facebookを通じて得た情報による政策アドバイスが選挙結果に大きな影響をもたらしたのではないか、と炎上している状況。
ビッグデータ利用に懸念
今回のデータ利用が問題視されると、利用者データを活用するビッグデータ事業のビジネスモデル自体が危機にさらされる。結果として政府による個人情報利用を推し進める中国企業が躍進するきっかけにもなり得る状況だ。個人情報利用という観点では社会主義のほうが有利とも言えよう。
感想
「流出」と勘違いし安易なフェイスブック批判をTwitter上で行っている方も多いので記事にまとめてみた。今回の件はFacebook特有の問題ではなく、SNS利用者のデータ活用そのものに関する問題である。
そもそも「個人情報」について認識がずれている人も多い。「実名」自体に情報的価値はほぼ存在せず、日々の「つぶやき」「画像」にこそビッグデータとしての価値がある。匿名のTwitterだから安全・利用されない、ということは決して無いことを理解しておくべきだろう。
今回の件は政治的な意味合いも含んでいたため、事態が大きくなってしまっている。しかし、利用者の情報は自ら提供するほどサービスとしては良くなることは間違いない。ビッグデータ・AI事業の足止めともなり得る今回の事態、どうにか落ち着いてくれることを願いたい。
コメント
勉強になりました。ツイッターもグーグルも
外国企業の情報サービスは怖いですよね。
情報がどう使われるか分からないし
政変で情報が悪用されることもある
相手が外国企業なら
交渉や調整は大変なことになる(日本語は使えないでしょうから)
利用者にはこうした
外国企業に依存するリスクを頭の片隅に置いて欲しいですね
SNSのデータなんて大半がゴミ情報だとは思うけど
著名人のスキャンダルは利用価値があるし
一般市民の情報も統計を分析すりゃ商用利用は出来る
企業や国家の機密情報も0では無いはず
とはいえ便利さは正義、(ユーザー利用者)数は正義
みたいなところがあるからなぁ
悩ましいところです。
情報発信ありがとうございました ^_^
TEST様、コメントありがとうございます。
外国企業だから注意~という趣旨の記事ではありません。
国内企業でも個人情報活用リスクは同等だと考えています。
どちらかというと日本人は個人情報活用を恐れすぎな感はあります。
筆者の個人情報は高校時代に市の教育委員会がやらかして流出したり、個人アプリ配信の為にネット上に住所も晒していますが実害はありません。
クレカ情報が漏れたり、ネット上で炎上しない限りは大丈夫だと思います。
情報利用の具体的なイメージを持つことも重要ですね。
ありがとうございました。