ヤフーの技術者採用、初年度650万が安過ぎる3つの理由

本日の日経新聞記事の「ヤフー、技術者採用に初年度650万提示 新卒も可」が話題になっていたのでまとめてみる。

概要

記事によると「ヤフー」はトップ級のエンジニア採用拡大にあたり、下記条件の入社希望者に初年度年収650万以上を提示するとのこと。

  • 30歳以下(新卒・既卒問わず)
  • 就業経験なし
  • 特定の技術分野で論文を発表したり、自身が開発したアプリのDL数が100万件以上など

これまでもデータ解析事業などで同様の採用は行っていたが、対象を広げた形となる。

募集要項

具体的な必要スキルが気になったのでヤフーの採用情報を調べてみると今回の記事対象は「エンジニアスペシャリストコース」だと思われる。募集職種詳細によると「必要な経験スキル」は下記の通り。

  • エンジニアリングに付随する起業経験
  • 技術書の執筆経験
  • 自身が開発したアプリのDL数100万以上
  • Kaggleにおいて、単独参加でコンテストTOP10%入賞経験
  • 競技プログラミングレート保持者
    – Topcoder 2200以上
    – AtCoder 2600以上
    – codeforces 2200以上
  • 以下の学問分野におけるトップカンファレンスでの論文発表経験(自然言語処理音声処理画像処理機械学習情報検索レコメンデーションコンテキストアウェアHCI(ヒューマン・コンピューター・インタラクション)分散コンピューティングデータベースHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)仮想化技術統計モデリングセマンティックウェブ)
  • 上記に準ずる経験

即戦力としてトップで活躍できる人材を対象とした採用制度となっている。

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安過ぎる理由

条件が厳しい

新卒で「年収650万円」というキーワードに期待した人も多いと思うがそもそも条件が厳しすぎる。「起業後進国」の日本で技術的な起業経験のある若者などまず居ないし、技術書執筆経験も普通は無い。アプリで100万DL以上を稼ぐのは困難であり、その他条件も他の企業でも即戦力で活躍できる内容となっている。「ヤフー」という企業の今後を担う人材に対して初年度年収「650万円」は条件に見合った評価なのだろうか。

フリーランスの方が稼げる

条件の「100万DL」に当てはまる方はそのままアプリ開発を続けてフリーランスとして働いたほうが間違いなく稼げるこちらの記事によると160DLを突破した電卓アプリの開発者は3年で1,180万円を稼いでおり、1,300万DLになると広告だけで月収500万円になるらしい。個人でのアプリ開発で儲けている方はそのまま個人事業化するのも良いだろう。

無論、たまたま大ヒットしただけで同様のアプリを連発できる保証も無いし収入面で安定はしない。また、技術者同士の交流や勉強会、企業ならではの開発力によって生まれるアプリもあると思う。この辺は人生設計とライフワークバランスの兼ね合いとなるが、実績さえあれば再就職は容易だと思うのでフリーランスとして活躍した方が良いだろう。

100万DLの意味

必要な経験スキルの中で「自身が開発したアプリのDL数100万以上」は明らかに浮いている。他の条件が技術分野の専門性を評価し得る指標なのに対して、DL数はいわば「注目度」であり「DL数が多い=技術力が高い」とは結びつかない。ブログで言えばキャッチーな記事、炎上記事で偶然PV数が跳ね上がることも多い。

ヤフーの目的として「需要があるコンテンツ」に敏感なマーケティング・企画に強い人材を募集したいのなら納得出来るのだがDL数だけで「エンジニアスペシャリスト」が集まるのかは甚だ疑問ではある。

感想

景気の良い話題かと思いきや、日本のITエンジニアに対する過小評価の実態が明らかになる残念なニュースだった。日本のITトップ企業でさえエンジニアの扱いは単純労働者なのである。これで海外勢に勝てる訳が無い。この募集要項なら収入面、やりがいの観点でも自らベンチャーを起業した方が良いと思う。ヤフーに入社するメリットは「収入の安定」「技術者同士の交流」辺りだろうか。また、偶然アプリが大ヒットした方も受けてみる価値はありそう。

「Yahoo!ゲームプレイヤー問題」でも技術力の低さが露呈したヤフー。今後、実績のある技術者が評価される風土が生まれ、根付くことに期待したい。

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