【オワコン】宝くじ売上7%減の理由は低すぎる還元率?広告費は?

2017年度に販売された宝くじの売上額が前年比6.9%減となったことが大きな話題となっている。売上が下がった原因と打開策について考察してみたい。

売上7%減

宝くじの売上は2005年に1兆1047億円をピークに減少傾向が続けている。2017年はドリーム・サマー・年末などのジャンボくじの売上が13.1%減。対して新商品「ビンゴ5」を投入した数字選択くじは2.6%増、一等当選金を1億円から2億円に引き上げたロト6は6.5%増となっている。

原因

売上減少に歯止めがかからない宝くじ。原因は一体何なのだろうか。

低すぎる還元率

宝くじの売上金額のうち購入者に分配される金額(払戻率)は法律で定められており、平成28年度の例では当選金として購入者たちに再分配されるのは全体の僅か46.8%。つまり理論値としては購入費用のうち半分以下しか戻ってこない仕様となっている。例えるなら購入者全員が当選する宝くじを販売した場合、300円で購入した内還元されるのは140円だけ。あるいは当選確率46.8%で元手の300円が当たる状態に等しい。当選率の低さは継続的に購入している方なら体感的にも分かるし、Web上で「宝くじシミュレーター」を試せば一目瞭然。収支合計がみるみるマイナスになる様子に衝撃を受けるはずだ。

引用元:総務省HP

この還元率は総務省が発表する競馬・競輪・競艇といった公営競技と比べても低い。公営競技は当選金率は約75%と高いが宝くじと異なり課税が行われる。そのため実行還元率は58.5%と下がるがなお10%以上の差が存在する。宝くじに財産をつぎ込むくらいなら競馬で万馬券を狙ったほうが期待値としては高い。ちなみに期待値だけで考えればパチンコ・パチスロは驚異の85%だが掛け金と還元の仕組みが異なるので純粋に85%が戻ってくる訳ではない。いずれにせよ宝くじの場合、胴元が儲けすぎ感が否めない。

収益金の使いみち

宝くじは総務省が発売許可を行い地方自治体が販売を行っており、目的は「地方財政資金の調達」とされている。歴史をたどれば戦後の財政危機から始まった仕組みであり、4割近い収益は発売元である各地方自治体によって公共事業費等に使用される。宝くじ購入金額の半分は地方自治体に対して寄付を行っていると認識しておけば良い。収益金充当事業一覧は公式HPで確認可能だが個人的には納得できない事業も多い。また上記PDF内では宣伝広報活動にも触れており、平成20年度実績ではテレビCMだけで67億円。新聞広告・交通広告etcを加えた広告費の総額は122億円となっている。購入を促すために宣伝が必要なことは理解できるが消費者心理としては宣伝費を配当金に回してほしいと思ってしまう。

本記事では詳しく触れないが宝くじ販売を行う受託銀行(みずほ銀行)周りの天下りの疑念も拭えない。2010年には事業仕分けの対象にもなっており、助成した59法人に108人の天下りが常勤役員に居ることも判明。「中抜き」が指摘されたが、総務大臣としては指摘内容を各地方公共団体に伝え、検討を要請したに留まっている。その後の協会の対応については「宝くじ社会貢献広報の見直しについて」を確認して欲しい。

夢がない当選額

億単位の「夢」をリスクなしで狙うなら庶民は「宝くじ」しか手段が無いのだが当選額は直近のサマージャンボ1等で5億円、前後賞合わせても7億円となっている。一般的なサラリーマンの生涯年収が2~3億なことを考えると「遊んで暮らせる」ではなく「働かずに暮らせる」金額でしかない。アメリカでは830億円当選という正にアメリカンドリームな金額が出ていることと比較しても数字としてのインパクトに欠ける。宝くじ業界として勢いがあったのは2000年に「ロト6」が発売し4億円の当選金が出た頃だと思う。数字選択式のくじで高配当が出たため「自分の運」で億万長者を目指せると大きな話題になった。現在は代わり映えのないジャンボくじ・ロトくじの発売を繰り返すだけで配当金も予想の範囲内。テーマ性も代わり映えが無い。SNSが流行っている昨今だからこそ盛り上がるテーマでShareしたくなる宝くじを販売できないのだろうか。配当金上限については法改正が待ち望まれる。

感想

個人的には学生の頃にWeb上で「宝くじシミュレーター」の結果に衝撃を受けて以来、全く買いたいと思わなくなった。現在も購入を続けている層の多くは年齢層高めな人たちではないだろうか。情弱向けギャンブル商品の印象が強く、購入者の年齢別の内訳があれば是非とも見てみたいところ。

立法当初の目的である「地方財政資金の調達」が達成された今、宝くじの必要性自体が無くなっている。役目が終わった以上、時代にそぐわない商品が廃れるのは自然な流れとも言える。カジノ実施のためのIR法案が可決された現在、ギャンブル業界も生き残りをかけた戦いが必要ということではないだろうか。このまま規模の縮小を続け時代遅れの産物となってしまうのか動向を注視したい。

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