『24時間テレビ』が嫌われてしまう理由【金は日テレを救う】

18時30分から放送が開始された『24時間テレビ 愛は地球を救う』。毎年安定した視聴率と募金を集めている人気番組だが、ネット上では放送内容を嫌う声も多く見られる。今回はその実状と嫌われてしまう理由を考えてみる。

ネット上の声

まず実際に「24時間テレビ」が嫌われているのかTwitterで検索してみる。すると多くの声が見つかる。

なぜ嫌われてしまうのか?

番組内容

『24時間テレビ』が嫌われてしまう最大の理由は「感動の押し売り」と「障害者を利用」した番組内容だろう。

感動の押し売り

『24時間テレビ』の代名詞とも言えるイベントは「チャリティーマラソン」である。不正疑惑などは別問題なので省くが、そもそも

「走る意味が無い」

企画として障害者ランナーが走るならまだ意味も分かるが、人気芸能人を走らせるのはどう考えても「視聴率(=お金)稼ぎ」と用意された「感動の押し売り」である。学生たちが「文化祭」で勝手に盛り上がっているのと本質は何も変わらない。自分たちが勝手に決めた課題を勝手に努力して、勝手に達成感を味わっている。要するに全て茶番なのである。無論それに「感動」した視聴者が募金してチャリティーに繋がるという部分もあると思う。しかし番組内での障害者の扱い方にも疑問がある。

障害者を利用

『24時間テレビ』では障害者を明らかに「特別視」している。番組で用意された「チャレンジ企画」では障害者が水泳したり、登山したりする企画が度々行われる。「健常者が当たり前に出来ることを障害者が必死に頑張る姿」という形で「感動」を狙っているのだろうが正直やり口が最低だと思う。

I'm not your inspiration, thank you very much | Stella Young

障害者を「感動を与えるモノ」として扱うことに異論を唱え、「感動ポルノ」という言葉を生み出したのは故ステラ・ヤング氏である。上記TEDのスピーチを未見の方は是非一度だけでも観て欲しい(日本語字幕あり)。「24時間テレビ」を24時間見るよりも上記スピーチを9分間聞いた方が障害者意識は高まると断言できる。

「24時間テレビ」は障害者を感動を与える「モノ」として扱っている典型的な番組である。だからこそ去年はNHKが裏番組として「感動ポルノ」を問題視した番組『バリバラ』も放送されている。障害者にとって最大の障害は「身体の障害」ではない。障害を特別視する誤った「考え方」である。この偏向した考え方を助長させる「24時間テレビ」の番組作りは大問題だと思う。

募金の使い道

内訳について

「24時間テレビ」放送と同時に行われるのが「チャリティー募金」である。よく「内訳が公表されていない」と勘違いされがちだが、公式HPに決算報告書が掲載されている。

その内訳は下記の通り(平成27年度)

寄付金の使われ方は大きく「福祉」「環境」「災害復興」の3つに分けられる。また「チャリティー」委員会とはいえ公益の社団法人なので僅かながら役員報酬等の管理費も計上されている。内訳を見て分かる通り殆どは「福祉支援」と「災害復興支援」に使われている。詳細な中身を確認してみよう。

細かく見てみると福祉支援の殆どは「福祉車両」に使われている。この「福祉車両」とはリフト付きのバス、スロープ付き自動車、訪問入浴車、電動車いす等を指す。これら福祉車両の贈呈は申込みを受けた後、自治体等の協力のもと公正かつ厳正な審査のもと贈呈されている。

「災害復興」のお金の使われ方についても各被災地に物を支援したり、義援金を贈呈するなどの報告がされている。

「チャリティ」なのか?

上記の通り、決算報告を読む限り「募金」は公正な使われ方をしていると客観的に判断できる。しかし番組自体が「チャリティー」番組なのかは疑問が残る。

巨額の「ギャラ」が発生

まず番組として切り離せないのが「ギャラ」の問題である。「24時間テレビ」はチャリティー番組だが出演者には普通にギャラが発生している。なおギャラはスポンサー収入から支払われるため、「募金」がギャラに使われているという陰謀論はお門違い。

事務所との付き合いもあり、人気芸能人を呼んで視聴率を稼ぐためには仕方ない部分もあるだろうが、真の意味で「チャリティー」番組を作るのであれば完全な「ノーギャラ」で出演をお願いするべきだと思う。

日テレが儲かる仕組み

また、大事なのはCMによるスポンサー収入は普通に日テレの懐に入るという点。

「24時間テレビ」は「チャリティー番組」の皮をかぶりつつ、普通に視聴率を稼ぎ、スポンサー収入を得ている只の「エンタメ番組」である。そしてチャリティー性を担っているのは募金活動をする視聴者である。

「チャリティー」という言葉が意味する「慈善」の精神が番組に存在すると考えるかは人次第だと思う。筆者は本当に「チャリティー」番組であるならば、番組制作費を除外したスポンサー収入も日テレから寄付するべきだと思う。現状日テレは何一つ損をしない仕組みで「チャリティー」を名乗っている。実におこがましい。

日テレの姿勢の変化に期待

以上のことから「チャリティー」の側面を視聴者が担いつつ、営利目的で作られた番組が「24時間テレビ」というのが筆者の見解である。視聴者としては「ギャラ」の扱いや「スポンサー収入」について透明化した上で真の意味での「チャリティー」番組を期待したい。障害者の番組内での扱いも「感動目的」ではなく、番組内で討論する場を設けたり、淡々と実状・課題を考える形に変更して欲しい。

昨今はSNSの普及により視聴者の目も肥えてきて、声も届きやすくなっていると思う。過去の安直な「感動方程式」では、現代の視聴者を騙すことは出来ない。来年以降は番組作りが改善されることに期待したい。

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コメント

  1. なすか112 より:

    批評家ごっこお疲れ様でした

  2. Taka Nao より:

    戯言にしか聞こえん

    • タコッケー より:

      なすか112=Taka Nao様コメントありがとうございます。
      今後のためのアドバイスですが、サーバー管理者にはコメント者のIPアドレスとドメインは丸見えです。
      そのため名前を変えるだけの自作自演はすぐにバレます。
      また、IPアドレス検索からあなたの2chでの過去の発言や住んでる場所も概ね分かります。
      そしてネガキャン目的のコメントは結果的にサイト評価を上げる結果に繋がります。
      そもそも当サイトのコメント頻度に対して連投するのが早すぎます。間を空けた方が自然です。
      普段は短文でのネガティブなコメントは削除してるのですが、反面教師の材料として活用できそうなので残しておきます。
      コメントありがとうございました。

  3. obatyan より:

     24時間テレビ、私は絶対に見ません。と言うのは私の知人(知的障害を持っています)が、必死になって1,5リットルのコーラのペットボトルがいっぱいになるほどの1円玉貯金をし、私が付き添って日本テレビの受付に持って行ったときに、同局OBの某氏が「なんだ、これっぽっちか」とつぶやいたのが聞こえました。知人には聞こえていたようで、彼女はウルウルしちゃいました。一緒にいた主人も、私も「2度とやるのをやめようね、あんな言われ方されたんだから」と立腹しました。確かに額は少ないかもしれませんが、彼女が一生懸命貯めたお金です。あれ以来「24時間テレビ」なる「偽善番組」は絶対に見ません。

    • タコッケー より:

      obatyan様、コメントありがとうございます。
      内容の真偽については判断しかねますが「偽善番組」という点については概ね同意です。
      飽くまで日テレの商業主義に則った番組構成であり、チャリティー目的ではありません。
      ありがとうございました。

  4. null より:

    番組を作る時に何をしてるかを考えると、物凄く気分が悪くなる
    特に番組で紹介される障害者のこと考えると怒りすら覚える
    まず全身にチューブ繋がれてベッドの上から動けないような障害者は、紹介されない
    紹介されるのは、決まって日常生活を送るのが困難だけど、何かの目標をもって日々を送る障害者
    そんな都合のいい人が簡単に見つかるわけもないから
    何人かは知らんが事前に障害者をピックアップして、選別した後に取材の申し込み
    断られることもあるだろうから、選別した段階で優先順位も付けてるのは丸わかり
    その基準が何かって言ったら視聴率よな

    • タコッケー より:

      null様、コメントありがとうございます。
      「感動」路線で番組受けする障害者・子供を選定しているのは間違いありませんね。
      民間企業として利益追求する姿勢は当然とも言えますがやり口の汚さが問題のように感じます。
      ありがとうございました。

  5. 匿名 より:

    集まった募金よりも、出演者へのギャラの方が高いのでは?慈善を食い物にしている様で気持ちが悪い。ギャラもらって出て入る芸能人も、さんま、たけし等、出演辞退の意味を考えて欲しい。トライアスロンで2千万?寄付も噂されているが、そんなんで株を上げても臭いだけだぞみやぞん。やるなら端からノーギャラで走れ!!(でも頑張れよ

    • タコッケー より:

      コメントありがとうございます。
      記事内で述べている通りチャリティの役割を担うのは「日テレ」ではなく「視聴者」ですからね。
      日テレとしてはチャリティを題材にした普通の番組作りをしているだけなので募金・ギャラの割合は気にしていません。
      社会貢献活動をしている企業というイメージ戦略としても恩恵が大きいですね。
      ありがとうございました。

  6. ゆっち より:

    24時間テレビというかテレビ自体を朝の1時間しか見ないんですけど(ネトウヨ的テレビアンチ思想ではなく、ゲームや漫画に忙しいから見ないだけ)
    もうずっと昔から「何なんだろうな、この下らない番組は。なんでこの無意味な物に世間だかテレビ好きの一部だか知らんが熱くなるのかな」と思っていました。

    >「走る意味が無い」
    >学生たちが「文化祭」で勝手に盛り上がっているのと本質は何も変わらない。
    本当にその通りで、とはいえ正直言ってしまうと
    「まあテレビ業界人とテレビ好き視聴者だけで勝手にやっといてくれよ」って感じで興味なしです。

    ところで高校野球とかも同じような話だなーって思います。
    好きな連中は本当好きなんですよねー・・・プロよりもミスるのが面白いとかなんとか。国際マラソン見ないけど芸人の24時間マラソンを見る思考と一緒。
    色んな特集とかして謎の感動を押し売りして来ますが、苦難に耐えて戦う球児たちは「汗流して青春を燃やす若者」ではなく「プロ野球選手になって一山当てたい山師」だと思うし。
    ドラフト指名されたくて頑張ってるだけじゃん、と。

    • タコッケー より:

      ゆっち様、コメントありがとうございます。
      実際楽しみにして盛り上がっているのは一部のテレビ好きの方だけで「なんとなく」観ている層が大半だと思います。
      ちなみに高校野球については純粋に「全国大会」でしか無いと思うので意見が異なります。
      ファン層の捉え方は恣意的ですし、各局の特集の仕方と選手の想いは別ものです。
      一概に「清く正しく美しい」訳では無いと思いますが、意見が極端すぎますね。
      ありがとうございました。

  7. 納得いかない太郎 より:

    同感です。
    営利目的で作られた番組で集まった寄付金で営利目的の介護等事業所に寄付をする。
    意味がわかりません。
    営利目的の介護等事業所の使用車両の免税とうの配慮をされているようですが
    これについても納得できませんね。
    事業主同士(障害者施設)のお話を聞いたことがありますが、””かんにんしておくんなはれ~
    というほどもうかってますがな””と言ってくした
    ふざけてますね。

    • タコッケー より:

      納得いかない太郎様、コメントありがとうございます。
      福祉車両については社会福祉法人に寄付され、稼働状況も調査しているので「営利目的」の介護事業所かは一概に判断できないと思います。
      社会福祉法人の利益についての透明性については「24時間テレビ」とは別の話ですね。
      ご記載頂いた件も主観が伴っており、障害者施設全般に言える話題か判断できません。
      主張内容にネガティブ目線での決めつけが多いように思います。
      ありがとうございました。

  8. T より:

    24時間マラソンですが
    ただ走っているだけで(厳密に言えば車移動もしていますが)
    数百万のギャラと派生の仕事が複数付いてくるわけです
    云わば美味しい仕事なわけです
    私とてやりたいとは思えど、感動する要素などどこにも見当たりません
    もっと言えば、そういった人参(ご褒美)が無くとも
    走ったからといって何?としか言えません
    私を含め、趣味でマラソンしている人は山のようにいますからね
    愛は地球を救うというコピーも安すぎて寒気がします
    人類への愛は無くした方が地球は救えますよ
    そもそも愛なんて無いですよこの偽善番組
    出演者には高額のギャランティを出して
    視聴者には募金を要求
    障害者は視聴率を稼ぐ道具
    愛は地球を救う?
    微塵も愛なんて無いじゃないですか
    8月になると熱いのに寒気がするのは、この番組のおかげです。

    • タコッケー より:

      T様、コメントありがとうございます。
      マラソンは完全に慣習・イベント化してますね。
      仰る通りランナーに選ばれた芸人は嬉しい限りでしょう。
      そもそもスポーツを「他人のため」に行う番組姿勢が謎ですよね。
      自身の健康や試合に勝つ等の「目標」のためにするべきであり、番組の「目標」であるチャリティとの整合性が全くありません。
      地球を救うには人類が絶滅するだけで良いですよね。
      視聴者が手軽に「愛」を感じるための番組構成でしかないと思います。
      ありがとうございました。